[P26-2] 乳幼児期に発症した致死性不整脈の3例
Keywords:致死性不整脈, LQT, CPVT
【背景】小児期に発症する致死性不整脈には、LQT、Brugada症候群やCPVTなどが一般的であるが、その初発年齢は学童期以降であることが多い。今回、乳幼児期に発症した致死性不整脈を3例経験し、その臨床像を報告する。【症例1】2か月女児、哺乳後に突然啼泣し顔色不良となった。初回心電図はVF。アドレナリン投与により心拍再開。心拍再開後の心電図に異常はなかったが、精査中にVFを繰り返した。QT延長に伴うTdPからVFへの移行を認め、LQTと診断。β遮断薬+メキシレチン投与を行い、ICD植込み術後に退院。8歳時にRyR2遺伝子変異が同定され、15歳時にICD作動があり、β遮断薬+フレカイニドへ変更。【症例2】10か月男児、おむつ交換後に抱き上げた際に顔色不良となった。初回心電図はAsystole。胸骨圧迫によりVFとなり、除細動により心拍再開。その後もVTを繰り返し、AMD投与にてSRを維持した。発作停止後の心電図ではQT延長はなく、AMD内服にて発作コントロールを得たため、ICD植込み術後に退院。退院後にVFによるICD作動があり、発症時心電図からshort coupled TdPと診断。AMDをベラパミルへ変更。原因遺伝子は同定されず。【症例3】3歳女児、家族に駆け寄った際に突然倒れ込んだ。初回心電図はVF。除細動により心拍再開。心拍再開後の心電図でQT延長を認めず、多源性のPVC二連発を認めた。AMDを開始したが、QT延長によるTdPとなり、β遮断薬へ変更。ICD植込み術後に退院。CALM1遺伝子変異を同定し、CPVTと診断。【考察・まとめ】乳幼児期発症の致死性不整脈では、初発時の発症誘因が把握し難く、心拍再開後の心電図に特徴的な所見がない場合は診断に苦慮する。遺伝子検査が診断及び治療方針の決定に有用であるが、診断までの薬物治療として、AMD投与開始後も不整脈が出現する場合には、幼少期にも発症し得るLQT・CPVT・ short coupled TdPを念頭にβ遮断薬やCa拮抗薬の使用が不整脈の発生予防に有効と考えられる。