The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラル(II)28(P28)
電気生理学・不整脈3

指定討論者:豊原 啓子(東京女子医科大学 循環器小児 成人先天性心疾患科)

[P28-1] 健常児童・生徒とQT延長症候群患児におけるQT時間と自律神経活動の日内変動についての検討

塩川 直宏1, 川村 順平1, 上野 健太郎1, 吉永 正夫2 (1.鹿児島大学医歯学総合研究科 小児科学分野, 2.鹿児島医療センター 小児科)

Keywords:QT延長症候群, Holter心電図, Heart rate variability

【背景】QT時間には日内変動がみられ、QT延長症候群1型(LQT1)では運動時に、LQT2では突然の騒音、安静/睡眠中、起床時などに心イベントが起きうることはよく知られている。しかし、自律神経活動と心イベントの関連性についての報告は少ない。【目的】LQTS患児におけるQT時間と自律神経活動の日内変動について関連性を明らかにし、突然死を予防する。【方法】健常小児105名(M/F 53/52)、LQT1患児16名(M/F 7/9)、LQT2患児19名(M/F 8/11)のHolter心電図を用いた。深夜(睡眠中で総心拍数/1時間が最低の時刻)、起床時、日中の活動帯(午前; 起床~12:00、午後; 12:00~18:00、夜; 18:00~就寝、各時間帯で総心拍数/1時間が最大の時刻)の5時間帯から、最大・最低・平均心拍数時の3枚の心電図を抽出した。個々の心電図から連続3心拍のQT/RR時間を接線法で求め、Fridericia法による補正値(QTc)を用いた。また、自律神経活動はHolter心電図より心拍変動(HRV; Heart rate variability)を解析し定量的に求めた。【結果】LQT1のQTcは健常より有意に長く(p<0.001)、LQT2においても同様だった(p<0.001)。日内変動について、疾患の有無や年齢群にかかわらず、深夜の最大心拍数のときにQTcが最大だった。日中の活動時間帯における小学生ではLQT1の方がLQT2よりQTcが長かった(P=0.049)。逆に深夜睡眠中の中高生においては、LQT2の方がLQT1よりQTcが長かった(P=0.03)。自律神経活動について、中高生において深夜睡眠中のLQT2と健常ではLQT2の方がより交感神経活動が活発になっていた(p=0.018)。【考察】LQT2の中高生において、睡眠中に交感神経活動が活発になっていてQT時間も延長していた。このことはLQT2患児が安静/睡眠中、起床時に心イベントを引き起こす原因を説明しうると考えられた。そのため心イベント予防のためには、睡眠中を含めたQT時間の評価が重要で、治療介入の必要性や治療効果判定にHolter心電図は有用である。