第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラル(II)30(P30)
電気生理学・不整脈5

指定討論者:青木 寿明(大阪母子医療センター 小児循環器科)

[P30-2] 先天性心疾患術後完全房室ブロックに対する恒久的ペースメーカ植え込み術後に房室伝導が回復した症例の検討

加藤 愛章, 坂口 平馬, 鈴木 大, 福山 緑, 中島 公子, 三池 虹, 大内 秀雄, 白石 公, 黒嵜 健一 (国立循環器病研究センター 小児循環器内科)

キーワード:房室ブロック, ペースメーカ, 先天性心疾患

【背景】先天性心疾患(CHD)の周術期に発生した完全房室ブロック(CAVB)の多くは術後数日で回復するが、多くのガイドラインでは術後1週間で回復しない症例では恒久的ペースメーカ植込み(PMI)の適応とされている。一方で、恒久的PMI後でも経過観察中に房室伝導が回復する症例も稀に経験する。【目的】CHD手術に合併したCAVBに対しPMI施行した症例の背景を検討し、後に房室伝導が回復した症例の特徴を明らかにする。【方法】2012年1月から2019年12月の期間に当院を受診したPMI術後のCHD患者234例うち、CHD手術に合併した完全房室ブロックに対しPMI施行した患者52例を対象とした。術式、手術時年齢、恒久的ペースメーカ植込みまでの期間、ペースメーカ作動状況(心室ペーシング率)について検討し、恒久的PMI後に房室伝導が回復した症例の特徴を検討した。【結果】術式は心室Septation 5例、Double Switch Operation 3例、心房スイッチ手術 2例、三尖弁置換 3例、僧帽弁置換 3例、共通房室弁置換 2例、三尖弁形成 3例、僧帽弁形成 1例、大動脈弓再建+VSD閉鎖 4例、TOF repair 5例、AVSD repair 4例、大動脈スイッチ+VSD閉鎖 2例、その他15例であった。CHD手術施行時期は中央値1.6(範囲0~60.7)歳で、PMI施行時期はCHD手術後1(0~377)か月であった。フォローアップ期間16.2(0.3~40.6)年で、最終チェック時に39例(75.0%)では心室ペーシング率99%以上であった。3例で心室ペーシング率は0.1%未満で房室結節での伝導が回復していることを確認した。房室伝導の回復を確認までの期間はそれぞれ4か月、5.0年、12.5年であった。いずれもPMI直後は心室ペーシング率は100%であったが、経過中にペーシング率が低下した。【結論】CHD術後のCAVBは、遠隔期に房室伝導が回復することがあるが、予測は困難である。