[P32-1] 左心低形成症候群に総肺静脈還流異常症、食道閉鎖、肝外門脈閉塞症を合併した症例
キーワード:左心低形成症候群, 総肺静脈還流異常症, 肝外門脈閉塞症
【背景】総肺静脈還流異常症(TAPVC)では左心系の小さい症例が時に認められるが、完全な左心低形成症候群(HLHS)の合併報告は少ない。HLHS+TAPVC1bに加えて食道閉鎖C型、肝外門脈閉鎖を合併したが、集学的治療により救命し得た症例を報告する。【症例】現在2歳女児。胎児診断にてHLHS(MA/AA), DORV, TAPVC1b(4PVs to LSVC), BLSVCと診断され当院へ母体搬送となった。38週2日、2319gにて帝王切開にて出生、食道閉鎖(C型)の合併も判明した。日齢0に胃瘻造設、翌日気管食道瘻結紮を行い、呼吸管理を安定化させた上で日齢2にbilPABを施行した。気管も湾曲している状態であることが判明したが外科的介入は要さなかった。術後肺条件が悪くPOD10に再挿管、その後は人工呼吸管理を継続した。同時期に肝外門脈閉塞症の合併も明らかになった。食道閉鎖根治術は循環不良による縫合不全のリスクが高いことから、体重増加および肺条件の改善を確認しながらNorwood手術を目指す方針とした。生後3か月時に体重3.7kgでNorwood +RV-PAconduit+TAPVC repair術を施行。生後5か月時に食道閉鎖根治術、rPVOに対し生後6か月時にステント挿入を行った。徐々にチアノーゼが悪化したが、肺血管床に対する肝病変の影響を懸念し、1歳4ヶ月時にGlenn手術ではなくconduitのサイズアップを行った。現在、気管切開・在宅呼吸器管理中であるが肝外門脈閉塞症が治療介入困難であり、食道静脈瘤や肺高血圧に留意しながら経過を観察している。【結語】HLHS+TAPVCという稀な合併に加えて、食道閉鎖、門脈閉塞も合併したため治療方針決定および周術期管理に難渋した。治療の優先順位、手術内容、介入時期などを、他科を交えた総合的な観点から進めていくことが重要である。