[P32-2] Norwood手術後急性期管理中の非侵襲的心拍出量モニタリングの有用性
キーワード:非侵襲的心拍出量モニタリング, 電気的心臓計測法, Norwood手術
【背景】電気的心臓計測法(Electrical Cardiometory:EC法)に基づく非侵襲的心拍出量モニターは心拍出量を簡便かつ持続的に測定できる。過去に我々は、先天性心疾患43症例でEC法で得られた心拍出量と心臓カテーテル検査中にFick法で得られた心拍出量が相関する(相関係数r=0.31, p<0.05)ことを報告したが、EC法の測定原理から血行動態ごとの検討が必要であると考察した。先天性心疾患に対するEC法の既報では、Norwood手術や姑息術などの術後管理に難渋する症例に対する有用性は不明である。今回、Norwood手術後の1症例で非侵襲的心拍出量モニターの術後急性期における有用性を検討した。【症例】2か月男児。HLHS(MS, AS)と胎児期より診断され、在胎40週5日、2,532gで出生した。日齢6に両側肺動脈絞扼術を施行し、生後2か月でNorwood手術を行いPICUに入室した。【方法】上記症例のPICU入室中に、同時に測定された動脈血および中心静脈血の血液ガス分析から算出された心拍出量(Fick-CI)と同時刻に記録されたEC法で得られた心拍出量(EC-CI)を後方視的に検討した。なお、ECMO管理中の測定値は除外とした。【結果】対象となるEC-CIとFick-CIは10測定値ずつであった。EC-CIの中央値は2.89L/kg/min(四分位偏差 2.50-3.23)、Fick-CIの中央値は2.65L/kg/min(四分位偏差 2.49-3.19)であった。EC-CIとFick-CIの相関係数はr=0.64(p<0.05)と有意な相関関係を認めた。【結語】本症例の非侵襲的心拍出量モニターと血液ガスから得られる心係数には相関があり、EC-CIは術後急性期の心拍出量の変化を反映していると考えられた。本研究の結果から、複雑な血行動態を有する症例においても、非侵襲的心拍出量モニターが有用である可能性が示唆された。今後は症例を集積し、血行動態に応じて有用性を検討する必要がある。