[P50-2] 完全型房室中隔欠損に対するmodified one-patch methodの中期遠隔成績
キーワード:AVSD, 房室中隔欠損, modified one-patch
背景:完全型房室中隔欠損(cAVSD)に対する心内修復術において、modified one-patch methodにより手技を簡素化できる症例がある。しかし本術式の術後の中長期遠隔期成績についての報告は少ない。当院では、良好な共通房室弁機能を持つ、VSDの浅い症例に対してmodified one-patch methodにて心内修復を行っている。目的:当院におけるmodified one-patch methodの中長期遠隔期成績を検討すること。対象・方法:対象は2000年1月から2019年12月の間に当院でcAVSDに対してmodified one-patch methodによる心内修復術を施行した24例。後方視的に検討した。男女比=11:13、21 trisomyは15例、手術時月齢は平均11.8±15.0か月、体重は6.5±3.8kgであった。経過観察期間は平均8年9か月、最長19年9か月であった。結果:VSDの深さは平均4.8±2.7mm。大動脈遮断時間、体外循環時間は59±22分、96±31分であった。術後早期に1例がPH crisisにより死亡。術前Qp/Qs 4.3, mPAP 50mmHg, PVR 6.4U/m 2と強い肺高血圧があった症例であった。その他遠隔期までの死亡症例なし。術後2例で重度左側房室弁逆流を認めた。1例は後乳頭筋低形成で弁のcoaptationが不良であり、術後6か月で左側房室弁形成を施行したが効果が乏しく術後7か月で機械弁置換術を施行した。1例は共通前尖が逸脱しており、術後21日で左側房室弁形成を施行するも弁機能不全による心不全が進行し術後6か月で機械弁置換術を施行した。また1例、大動脈弁下狭窄が進行し、術後6年で左室流出路の肥厚組織による大動脈弁下狭窄に対して解除術を施行した。その他20例では、中等度の左側房室弁逆流を認めたのは2例のみであり、遠隔期までの進行性の弁機能不全は認めなかった。結論:VSDの比較的浅いcAVSDでは、modified one-patch methodによる心内修復術は房室弁の機能を維持しながら手術手技を簡素化できるが、弁機能評価により術式の変更を考慮すべき症例も存在すると考えられた。