第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラル(II)51(P51)
術後遠隔期・合併症・発達8

指定討論者:寺田 一也(四国こどもとおとなの医療センター 小児循環器内科)

[P51-3] modified Blalock-Taussig shunt感染性閉塞症例の臨床像

山田 佑也, 鈴木 孝典, 伊藤 諒一, 森本 美仁, 郷 清貴, 鬼頭 真知子, 森鼻 栄治, 河井 悟, 安田 和志 (あいち小児保健医療総合センター 小児心臓病センター 循環器科)

キーワード:modified Blalock-Taussig shunt, infectious obstruction, pseudoaneurysm

【背景・目的】modified Blalock-Taussig shunt(mBTS)閉塞の原因のひとつに感染が挙げられるが、その頻度は低く症例報告の数も少ない。今回、自験5例の経過から臨床像の把握および治療方法に関する検討を行った。【結果】基礎心疾患はFallot四徴症3例、心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症1例、三尖弁閉鎖症(1b)1例。mBTS施行年齢は日齢17から1歳8か月で、術後1か月から8か月でmBTS閉塞が判明した。2症例でmBTSの動脈側吻合部周囲に仮性瘤を形成した。閉塞判明時点で感染の関与が想定できた症例は2例で、残り3例のうち1例は術中所見から、もう2例はカテーテル時の所見およびその後の培養結果から感染の関与が判明した。起因菌はMRCNS 3例、Serratia 1例、Salmonella 1例であった。肺血流維持のための対応として、2例でカテーテル治療を行い1例はmBTS再開通、1例は無効で低酸素血症が持続したため体外循環を導入した上で右室流出路形成術及びshunt graft除去を施行した。2例でoriginal BTSを施行し、その後shunt graft除去と仮性瘤切除を行った。残り1例は術中にmBTS感染が判明したが、順行性血流のみで肺血流が維持できたためshunt graft除去のみで手術を終了した。いずれも感染性心内膜炎に準じた抗菌薬治療を行い、その後感染が問題になった症例はなかった。【考察】感染性mBTS閉塞例では、閉塞判明時点で感染関与の想定が困難な症例もあり注意を要する。形態的にはmBTS吻合部付近の仮性瘤を伴う症例もある。治療は肺血流を維持し、かつ感染巣を除去した上での人工物を使用しない外科的介入を行う必要がある。基礎心疾患や児の月齢を考慮し、個別の症例で最適な治療方針を決定する必要がある。