[P51-4] 両側肺動脈絞扼術後、遠隔期肺動脈狭窄病変の残存の検討
Keywords:肺動脈絞扼術, 肺動脈狭窄, 先天性心疾患
【背景】high flow疾患では肺動脈絞扼術を先行する場合があるが、遠隔期に肺動脈狭窄(PS)が残存する症例がある。【目的・方法】2010年から2019年までに当院で両側肺動脈絞扼術を施行した症例について診療録をもとに後方視的に検討した。2心室修復症例(2VR)ではカテーテルで圧格差30mmHg以上をPS残存とし、30mmHg未満の圧格差、カテーテル不要と判断した症例についてはPS非残存とした。単心室修復症例(SVR)ではBDG後カテーテル時に3mmHg以上の圧格差を認めものをPS残存とした。【結果】2VR症例は26例で疾患の内訳はPTA;10, IAA/VSD;7, HLHS variant;4, CoA/VSD;3, DORV;1, TGA;1。PS残存は8例(31%)、Bil.PABはPS残存群; 生後median10日、PS非残存; median13.5日と有意差は認めなかったが、Bil. PABから次期手術(根治手術やPAB adjustment)までの期間はそれぞれmedian460日 median72日と有意差を認めた。また遠隔期カテーテル治療でPSの解除ができなかった症例4/5例(80%)だった。一方SVR症例は29例で内訳はHLHS;22, DORV;3, DILV;1, l-TGA /hypoRV;1。PS残存は9例(31%)で、Bil.PABはPS残存群生後median5日、PS非残存群median4日で有意差は認めず、Bil. PABから次期手術までの期間はそれぞれmedian72日 median59.5日と有意差を認めなかった。遠隔期カテーテル治療でPSの解除ができなかった症例3/8例(38%)だった。【考察】SVR症例ではBil.PAB後比較的早期に絞扼解除されるため遠隔期の肺動脈狭窄と解除術までの期間の影響が少ない一方で、2VRのRastelli型手術を控えた症例では体重増加を待つなど絞扼解除までに期間を要し、遠隔期肺動脈狭窄を呈する症例を一定数認めた。PS残存群は遠隔期カテーテル治療は限定的で、遠隔期PSの観点では、体重増加を待って大口径のconduitを使用するよりも早期に小口径のconduitを使用し心内修復術を行う、根治手術前にカテーテル治療でPABのadjustmentを行うなどで軽減できる可能がある。