[P52-2] 完全大血管転位に対する大血管スイッチ術後の新大動脈基部拡張と体型の関係
Keywords:Jatene手術, 大動脈基部置換, 成人先天性心疾患
【背景と目的】完全大血管転位症に対する大血管スイッチ術(ASO)後患者の約半数で遠隔期に新大動脈基部拡張が観察され、外科的再介入が必要となる場合もある。性別(男)、二期的修復、心室中隔欠損症合併がそのリスクと報告されている。一方、肥満は心血管イベントのリスク因子であることは周知であるため、成人期に至ったASO後患者における新大動脈基部拡張と体型の関係を明らかにする。
【方法】ASO後遠隔期48人(15歳以上)において心エコー図検査により新大動脈弁輪径、バルサルバ洞径、上行大動脈径を測定し、肥満度指数(BMI)と比較検討した。
【結果】ASO時年齢20(15-55)日、体重3.1(2.8-3.9)kgで、心室中隔欠損症合併11例、二期的修復3例であった。 1例を除きLecompte法であった。検査時年齢19(17-27)歳、体重57(49-69)kg、身長167(159-171)cm、BMI 20.9(18.4-24.3)、収縮期および拡張期血圧は120(112-127)mmHgおよび67(63-73)mmHgであった。心エコー図検査結果は新大動脈弁輪径:22.2(20.2-23.9)mm(Z値:1.17 [0.36-2.17])、バルサルバ洞径:34.6(32.0-40.1)mm(Z値:3.52 [2.33-4.61])、上行大動脈径:20.7(19.5-22.8)(Z値:-0.75 [-1.60-0.07])であった。中等度以上大動脈弁逆流を3例に認めた。バルサルバ洞Z値>2.0が77%に認められたのに対し上行大動脈径Z値>2.0は6%でありバルサルバ洞のみが拡張する特徴があった。バルサルバ洞径>70mmに対して大動脈基部置換を行った大血管スイッチ術後患者1例(BMI=29.2)を経験した。バルサルバ洞径はBMI(r=0.40)に有意な相関があったが、年齢、収縮期および拡張期血圧とは相関がなかった。
【結論】肥満による循環血液量増加とLecompte法による左右肺動脈分岐部による上行大動脈絞扼がバルサルバ洞拡大を進行させるのではないかと推察した。ASO後患者に対する青年期からの生活指導・肥満予防対策は重要である。
【方法】ASO後遠隔期48人(15歳以上)において心エコー図検査により新大動脈弁輪径、バルサルバ洞径、上行大動脈径を測定し、肥満度指数(BMI)と比較検討した。
【結果】ASO時年齢20(15-55)日、体重3.1(2.8-3.9)kgで、心室中隔欠損症合併11例、二期的修復3例であった。 1例を除きLecompte法であった。検査時年齢19(17-27)歳、体重57(49-69)kg、身長167(159-171)cm、BMI 20.9(18.4-24.3)、収縮期および拡張期血圧は120(112-127)mmHgおよび67(63-73)mmHgであった。心エコー図検査結果は新大動脈弁輪径:22.2(20.2-23.9)mm(Z値:1.17 [0.36-2.17])、バルサルバ洞径:34.6(32.0-40.1)mm(Z値:3.52 [2.33-4.61])、上行大動脈径:20.7(19.5-22.8)(Z値:-0.75 [-1.60-0.07])であった。中等度以上大動脈弁逆流を3例に認めた。バルサルバ洞Z値>2.0が77%に認められたのに対し上行大動脈径Z値>2.0は6%でありバルサルバ洞のみが拡張する特徴があった。バルサルバ洞径>70mmに対して大動脈基部置換を行った大血管スイッチ術後患者1例(BMI=29.2)を経験した。バルサルバ洞径はBMI(r=0.40)に有意な相関があったが、年齢、収縮期および拡張期血圧とは相関がなかった。
【結論】肥満による循環血液量増加とLecompte法による左右肺動脈分岐部による上行大動脈絞扼がバルサルバ洞拡大を進行させるのではないかと推察した。ASO後患者に対する青年期からの生活指導・肥満予防対策は重要である。