[P52-5] 心内修復術後のDown症候群における遠隔期再介入についての検討
Keywords:Down症候群, 遠隔期, 再手術
[背景]Down症候群(DS)は先天性心疾患(CHD)を合併する染色体異常の中では最も多く、また心疾患治療成績の向上に伴う生命予後の改善により、遠隔期管理を行う症例は今後も増加することが予想される。その中で、単純短絡疾患ではないCHDの修復術後症例に対して遠隔期に遺残病変や続発症に対する再介入が必要となる症例も見受けられるが、治療適応判断について苦慮する例も見られる。それらの症例につき、当院での経験および文献的考察を踏まえて報告する。[対象・方法] 当院および関連施設で外来経過観察中の心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存を除いた心内修復術後で12歳以上のDS症例につき、残存病変の有無、循環器的な投薬の有無、再手術の有無等を検討した。[結果] 症例は18例(男性7例)で年齢中央値14歳。 原疾患は房室中隔欠損(AVSD)12例、大動脈縮索複合(CoA complex)2例、ファロー四徴症(TOF)2例、その他が2例。有意な病変は大動脈狭窄・閉鎖不全(ASR)1例、房室ブロック(AVB)1例、大動脈閉鎖不全(AR) 1例、僧帽弁閉鎖不全(MR)2例で有意な肺高血圧例はなかった。 投薬は6例で内訳はACE阻害剤、利尿剤、β遮断薬。再介入はAVSD術後の大動脈弁下狭窄解除1例、AVSD術後MRに対する僧帽弁形成術が1例。ASR症例は高度ASのため大動脈弁置換術も検討されたが、術後抗凝固療法に伴うリスク等を考慮し実施には至っていない。弁置換術、ペースメーカー植込み術、カテーテルインターベンションの実施はなかった。[考察とまとめ] 単純短絡疾患ではないCHD修復術後のDS症例の大部分は有意な遺残病変なく良好な経過を示した。一方で大動脈弁、僧帽弁の遺残病変を認める例が散見されたが弁置換術実施例はなかった。DS症例では臨床症状の把握が困難であることや長期的な投薬コンプライアンスに対する懸念が治療方針決定に一定の影響を与える可能性がある。