[P52-6] 小児先天性心疾患手術後にICU-AWを発症した患者におけるADL回復の特徴
キーワード:ICU-AW, 先天性心疾患, ADL
【背景】筋力低下を主体とした機能障害であるICU-AW(Intensive Care Unit Acquired Weakness)は、発症後の身体機能回復までに数週間から重症例では年単位といわれているが、小児における回復過程は不明な点が多い。【目的】ICU-AWを発症した小児先天性心疾患手術後患者のADL回復までの特徴を調査すること。【対象と方法】先天性心疾患手術後にICU-AWを発症した患者73例(平均年齢14.0ヵ月)。診療録より、患者情報、手術状況、手術後経過、リハビリテーション経過などを後方視的に調査した。なお、ICU-AWの判定にはMedical Research Council(MRC)スコアを用いた。また、中枢神経障害を有するもの、新生児症例、ADL追跡不能例は除外した。【結果】手術前のADLに回復するまでの日数は、中央値で60(IQR:30.5-98)日。手術後1か月以内にADLが回復した症例は全体の26.0%、2か月以内53.4%、3か月以内69.9%で、9.6%は4か月以上の時間を要した。ADL回復までの日数と手術時間(中央値343[264.5-447.5]分)、挿管期間(中央値6[3-13]日)、筋弛緩薬投与期間(中央値4[2-7]日)、PICU滞在日数(中央値14[9-27]日)、在院日数(中央値40[25-58]日)にはそれぞれ中等度の正の相関関係を、覚醒時MRCスコア(中央値38[25.5-46]点)とは中等度の負の相関関係を認めた(p<0.01)。【考察】ICU-AW発症後の予後については、重症疾患多発ミオパチー(CIM)と重症疾患多発ニューロパチー(CIP)では異なることが報告されているが、ICU内における電気生理学的検査は現実的ではない。今回、手術時間や挿管期間、筋弛緩薬投与期間が長い症例ほど、また覚醒時のMRCスコアが低い症例ほどADLの回復に時間を要していたこともあり、これらが予後予測の判断材料につながる可能性が示唆された。