[P53-3] 成人先天性心疾患術後残存肺動脈狭窄に対するステント留置
キーワード:ステント, 成人先天性心疾患, 肺動脈狭窄
【背景】不均衡肺循環は換気血流ミスマッチの原因となるため,早期に是正されるべきである.しかし症状が乏しい成人体格例では治療が遅れがちである.【目的】成人体格となった先天性心疾患術後肺動脈狭窄に対するステント留置治療が妥当かどうかを検討.【対象】2008-2019年に他院から紹介された成人体格先天性心疾患5例(ファロー四徴症手術後1例,肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損主要体肺動脈側副血行路Rastelli手術後1例,総動脈幹症Rastelli手術後1例,修正大血管転位Senning+Nikaidoh+Rastelli手術後1例,単心室Fontan手術後1例).年齢 (mean, range) (22, 17-29 歳).肺動脈狭窄に対する再手術,バルーン拡張術無効3例.手術後primaryステント留置2例.【ステント留置手技】部位:左肺動脈狭窄3例.ステント種類:バルーンエキスパンダブルステント4例,セルフエキスパンダブルステント1例(Palmaz 3例,Ominilink 1例,E-Luminexx 1例).ステント径:(12.4, 10-14 mm).アプローチは大腿静脈,留置ロングシースは8Fr-11Fr.全例合併症なく完全に狭窄解除.【結果】・全症例で造影所見,肺血流シンチで血流改善有り.1症例で少量胸水貯留を認めたが自然に軽快.臨床症状NYHA2度であった4例は1度に改善.【考察】・大動脈など外部からの干渉による肺動脈狭窄に対する外科手術は無効.・成人肺動脈狭窄に対するバルーン拡張術はrecoilによる再狭窄が必発で効果が乏しい.・病状により大口径ステントの種類を選択.・乳幼児と違いサイズアップの必要がない成人ではステントのサイズ決定が容易.・NYHA 1-2度で自覚症状に乏しい例では適切な治療のタイミングを決めるため小児科内科間,施設間での適切なカンファレンス,移行が必要.【結語】片側肺動脈狭窄に対するステント留置により,成人移行例であっても肺血流不均衡を是正できる可能性が高い.外科手術に比べ低侵襲かつ有効な治療であり,第一選択と考えて良い.