[P61-2] 肺葉性肺気腫合併に対して肺葉切除後に根治し得た先天性心疾患の4例
キーワード:肺葉性肺気腫, 先天性心疾患, 肺葉切除
【背景】肺葉性肺気腫を合併した先天性心疾患では健常肺および心臓への圧迫のため強い呼吸障害および血行動態の増悪により治療に難渋することが多いが、肺気腫病変を切除することで呼吸機能が改善し、後日根治術が行えた先天性心疾患4症例を経験したので報告する。【症例1】21trisomy、DORV、AVSDの男児。3ヶ月時にPABを行い退院したが、6ヶ月頃より陥没呼吸が出現しCTで両側肺気腫と診断された。1歳6ヶ月時に呼吸不全で蘇生となり、ECMO下で緊急的に左肺部分切除術を施行した。翌日ECMOを離脱し、状態が落ち着いたところで右肺上葉の残存病変も切除して呼吸状態は安定した。【症例2】PDAの女児。生後2ヶ月頃より多呼吸・陥没呼吸あり前医で右肺気腫、PDAと診断された。NPPV管理が離脱できず、4ヶ月時に当院へ転院し右肺中葉切除術を施行して呼吸状態は改善した。【症例3】TGA(II)の女児。31週1390gで出生し新生児期にPDA clippingを施行した。NPPVから離脱できずCTで左肺気腫と診断し、3ヶ月時にmPABを行ったが呼吸状態が改善せず、11ヶ月時に左肺上葉部分切除術を行うことで術後NPPVから離脱できた。【症例4】VSD、ASD(II)、PLSVCの女児。心カテで両心室の拡張障害、PHあり。CTより肺気腫が疑われたため当院へ紹介された。9ヶ月時に右肺中葉切除を行い、術後呼吸状態は改善し、心カテでは両心室の拡張障害およびPHは軽快していた。【結語】いずれも肺気腫病変切除により呼吸状態が改善し、安全に心内修復を行うことができた。肺気腫を伴う先天性心疾患の場合、血行動態への影響も大きく健常肺の肺血管床の発育を確保するためにも早期の肺葉切除が望ましい。