[P62-4] 先天性心疾患を有する18トリソミー症例に於ける肺生検所見
Keywords:18トリソミー, 肺生検, 先天性心疾患
背景18トリソミー(T18)は超低出生体重や多様な合併疾患を有する事が多く、心臓手術適応の有無と手術介入時期に関し少ない経験・情報の中で治療方針を模索している状況にある。またT18の剖検症例では進行性肺血管閉塞性変化が生後2ヶ月という早い時期に観察されたとの報告もあるが、肺生検の報告は未だ僅かである。目的T18患児14例の手術例を経験し、内7例で肺生検を併施した。これまでT18症例に於ける肺血管病理所見で得た知見を報告する。対象と方法2016年1月以降先天性心疾患に対して手術介入した14例中肺生検を併施した7例を対象とした。在胎週数33~41週(中央値37週)、出生時体重1478~2362g(中央値1920g)。VSD 5例、TOF 2例。肺生検は、初回手術併施4例(肺動脈絞扼術(PAB)時3例、一期的修復術時1例)、二期的修復時併施3例(PAB後2例、BTS後1例)。手術時年齢は、初回手術症例では20~392日(中央値161日)、二期的修復症例3~5.8歳(中央値3.9歳)。結果全例生存。HE分類I度3例、II度2例、III度2例、IPVDは1.0~1.8(中央値1.2)。HE分類III度の2例のIPVDはそれぞれ1.7、1.8と比較的高値であった。内1例は1歳時のPAB時に肺生検を施行した症例で、中膜の中等度肥厚と繊維性内膜肥厚所見を認めた。PABから2年5か月後の心臓カテーテル検査で肺血管抵抗(Rp)16.7単位、酸素負荷試験後Rp 15.9と不可逆的肺高血圧を示し、現在内科的加療を行なっている。他の1例は生後11日にPAB施行後3歳9か月の二期的手術施行時を行なった症例で、中膜肥厚の退縮と繊維性内膜肥厚所見を認めた。術後肺血管拡張薬と在宅酸素使用しPp/Ps 0.4程度で経過している。結語PAB手術介入が1歳と遅い症例で高度肺血管内膜病変と術後PHの進行を経験した。また新生児期PAB施行症例にも早期に内膜肥厚所見が見られたが、PABによる肺血管床保護効果により二期的手術時には中膜肥厚の退縮が生じていたと考えられた。