The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラル(II)68(P68)
川崎病・冠動脈・血管4

指定討論者:二瓶 浩一(東邦大学医療センター大橋病院 小児科)

[P68-1] 当科における川崎病乳児例に対するインフリキシマブの使用経験

古田 貴士1, 元永 貴大1,2, 大西 佑治1, 岡田 清吾1, 鈴木 康夫1, 長谷川 俊史1 (1.山口大学大学院医学系研究科医学専攻小児科学講座, 2.綜合病院山口赤十字病院小児科)

Keywords:川崎病, インフリキシマブ, BCG

【背景】川崎病乳児例は大量γグロブリン静注療法(IVIG)不応の場合において年齢や体格などの制限的要素が多く,3rd lineの治療法選択に苦慮することがある.川崎病においてインフリキシマブ(IFX)の適応は原則1歳以上だが,乳児に対する使用報告が散見される.【方法】2008年4月から2019年3月の期間に山口大学医学部附属病院で入院加療した川崎病症例の臨床情報を後方的に収集した.このうちIFXを使用した乳児例を対象とし,IFXの有効性および安全性について検討した.【結果】IVIG不応川崎病乳児例は21名であり,そのうちIFX投与例は11名(52.4%)であった.男児8名(73%),年齢6か月(3-11か月)であった.川崎病診断病日は第4病日(2-11病日)で,IFXは第9病日(5-20病日)に投与された.有効10名(91%)であった.2名(18%)に冠動脈病変を認めたが,いずれも退縮を確認した.BCG接種からIFX投与までの期間は3.5か月(14日-8か月)であった.IFX投与後にBCG感染症を含めた重症感染症を発症した症例はなかった.主な有害事象は,皮疹2名(18%),高脂血症1名(9%)であった.重篤な有害事象は認めなかった.【考察】有効性および有害事象の頻度は過去の報告と同程度であった.BCG接種からIFX投与までの間隔が6か月未満の症例についても,有害事象が増加することはなかった.IFXはIVIG不応川崎病乳児例において有用な治療選択肢の一つとなり得る可能性が示唆された.しかし,BCG接種からIFX投与までの至適期間,抗結核薬投与の必要性や長期的な安全性は不明な部分が多く,今後も慎重な経過観察および症例の蓄積が必要と考えられた.