[P72-5] 学校検診で見つかったQT延長症候群(2型)の3例の対応:心停止例を含んだ考察
キーワード:QT延長症候群, 学校検診, 心臓突然死
【背景】近年、AEDの普及で院外心停止の予後が改善したが、自宅発症例の予後は依然不良である。最近の報告で、児童生徒の院外心停止の非経過観察例のうち5例がQT延長症候群(LQT)で、うち3例は睡眠中の発生であった。LQT 2型(LQT2)の発生は睡眠からの覚醒時であり、公共の場のAEDの効果は限定的である。今回、院外心停止例を含んだ学校検診を契機に診断したLQT2につき報告する。
【症例1】15歳女児。自宅で睡眠中に、母があえぎ呼吸に気づき救急要請。アラーム音なし。家人がCPR開始し、救急隊到着後、AEDを使用し洞調律復帰した。動悸や失神の既往や家族歴なし。中学校1年時の検診心電図でQTc(F)460ms,3誘導にnotched T waves (NTW)を認めたが、近医の再検でQT間隔が正常であったため定期受診されなかった。入院後、心電図でHR44, V1-5 陰性T, QTc(F) 560msを認めた。遺伝子検査でKCNH2ミスセンス変異を認め、LQT2と診断した。入院1カ月時で社会復帰可能な状態で、ICDを留置し退院した。【症例2】11歳男児。小学校4年時の学校検診を契機に受診。症状の既往なく、小学校1年時の心電図で異常なし。家族歴に、父方祖母兄弟にLQT例あり、父に心電図異常の指摘あり。心電図で、HR67,QTc(F) 497ms,3誘導にNTWを認めた。遺伝子検査でKCNH2ミスセンス変異を認め、LQT2と診断し、β遮断薬を開始した。【症例3】9歳女児。症例1の同胞で精査目的に受診。症状の既往なし。小学校1年時の心電図で異常なし。心電図で、HR64,QTc(F) 490ms,3誘導でNTWを認めた。遺伝子診断で兄と同型の変異を認め、LQT2と診断し、β遮断薬を開始した。
【結語】自宅で心停止を来たす為に、発症前診断と予防がAEDの時代に重要と考えられるLQT2の診療において、自験例は、学校心電図検診による本症の早期診断、管理と診断後の同胞の検索の意義に示唆を与える。学校心電図判読におけるNTWの扱いにつき、さらなる検討が必要である。
【症例1】15歳女児。自宅で睡眠中に、母があえぎ呼吸に気づき救急要請。アラーム音なし。家人がCPR開始し、救急隊到着後、AEDを使用し洞調律復帰した。動悸や失神の既往や家族歴なし。中学校1年時の検診心電図でQTc(F)460ms,3誘導にnotched T waves (NTW)を認めたが、近医の再検でQT間隔が正常であったため定期受診されなかった。入院後、心電図でHR44, V1-5 陰性T, QTc(F) 560msを認めた。遺伝子検査でKCNH2ミスセンス変異を認め、LQT2と診断した。入院1カ月時で社会復帰可能な状態で、ICDを留置し退院した。【症例2】11歳男児。小学校4年時の学校検診を契機に受診。症状の既往なく、小学校1年時の心電図で異常なし。家族歴に、父方祖母兄弟にLQT例あり、父に心電図異常の指摘あり。心電図で、HR67,QTc(F) 497ms,3誘導にNTWを認めた。遺伝子検査でKCNH2ミスセンス変異を認め、LQT2と診断し、β遮断薬を開始した。【症例3】9歳女児。症例1の同胞で精査目的に受診。症状の既往なし。小学校1年時の心電図で異常なし。心電図で、HR64,QTc(F) 490ms,3誘導でNTWを認めた。遺伝子診断で兄と同型の変異を認め、LQT2と診断し、β遮断薬を開始した。
【結語】自宅で心停止を来たす為に、発症前診断と予防がAEDの時代に重要と考えられるLQT2の診療において、自験例は、学校心電図検診による本症の早期診断、管理と診断後の同胞の検索の意義に示唆を与える。学校心電図判読におけるNTWの扱いにつき、さらなる検討が必要である。