第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(II)80(P80)
外科治療2

指定討論者:安達 理(宮城県立こども病院 心臓血管外科)

[P80-2] 当院の手製EPTFE三弁コンディットについての検討

長門 久雄1, 吉澤 康祐1, 森 おと姫1, 前田 登史1, 大野 暢久1, 岡田 達治1, 植野 剛1, 佐藤 博文1, 坂崎 尚徳2 (1.兵庫県立尼崎総合医療センター 心臓血管外科, 2.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器科)

キーワード:右室流出路再建, コンディット, 再手術回避率

【目的】右室流出路再建(RVOTR)に当院手製のEPTFE三弁付きコンディット(HET)使用の妥当性について検討する。【方法】二心室の血行動態を持つRVOTに使用されたHET(心内修復術、コンディット再置換手術を含む)を対象とする。【結果】2004年11月から2019年10月に29例に対し、33個のHETが使用されていた。対象となった主疾患、術式はTOF,PA 10 (内MAPCA, UF 4); Truncus 9; Ross 6 (内Ross-Konno 1); TGA 3; DORV, PA 1であった。 手術時年齢は中央値6.2歳(0.2~40.8)、体重は中央値18.9Kg (3.79~65.9)。使用された HETのサイズとその個数はそれぞれ、12mm,1; 14mm,4; 16mm,7; 18mm,5; 20mm,7; 22mm,7; 24mm,2 であった。33個の内、コンディット再置換を受けていたのは4個でいずれも再度HETが使用されていた。再置換を受けた HETの経過年数は3.7, 4.7, 8.4, 11.3年であった。早期再手術となった前二者の理由は1例がMAPCA, UF後のbranch PS(Case A)、他の1例がLPA狭窄であり、いずれもHETの問題ではなかった。HET再置換をしていない29個は、経過年数中央値3.3年(0.3~14.8)で、最終のRV/LV圧比は2例を除き0.7未満(0.7以上は1例が再手術後もRV圧が低下していないCase A、他の1例が0.3歳で12mmを使用し5.3年経過した再置換予定例)、最終RVEDVについてはCase Aを除き中央値109.2% of N (62.3~127.4)であった。Case AのRVEDVは225~266% of Nで経過している(HETの弁逆流は高肺動脈圧下でも問題ない)。 HETの再置換回避率は、3年100%、5年87.1%、10年78.3%であった。コンディット弁へのPTPV介入は3例に必要とした。【結語】当院で使用しているEPTFE三弁付きコンディットは乳児期早期の使用経験は少ないものの、十分な耐久性、逆流防止効果がある。