[P80-5] 二心室修復可能な心疾患に対する姑息的右室流出路再建術8例の検討
Keywords:姑息的右室流出路再建, 二心室修復, 姑息術
【背景】単心室疾患における右室-肺動脈シャントの有用性は報告があるものの、二心室修復(BVR)可能な心疾患に関してはその有用性に関する報告は少ない。【目的】BVR可能な心疾患に対する姑息的右室流出路再建術(pRVOTR)について、その結果や血行動態・有用性・姑息術としての意義について報告する。【方法】対象は2017年以降に行ったpRVOTR8例。最終的にRastelli手術を要する心疾患のうち、主要体肺側副動脈(MAPCA)のように肺血管床に懸念がある症例、または両側体肺動脈短絡(SP-S)術後だが心内修復に懸念があり姑息術を必要とした場合をpRVOTRの適応とした。対象疾患はCoA・Cervical aortic archとMAPCAを伴ったDORV/PS1例、PA/VSD/MAPCAs5例、総動脈幹症2例。年齢は日齢1-月齢65(中央値;月齢10)、体重は3.2-18kg(中央値;5.8kg)。VSD未閉鎖のため、血流制限として導管は正常肺動脈弁輪径の70-80%とした。【結果】導管サイズは5mm 1例、6mm 2例、8mm 1例、10mm 2例、12mm 1例、14mm 1例を使用。同時手術はCoA repair+UF1例、UF3例、肺動脈形成3例。手術時間362±115分、人工心肺217±57分、大動脈遮断24±5分。急性期・中遠隔期死亡なし。平均観察期間20 ヶ月で、SpO2=79±7%:91±3%:87±4%(術前:術後:中期)、BNP=287±353:124±54:57±59であり、待機中に心不全やチアノーゼ増悪による入院イベントなし。術前:術後中期でカテーテル検査結果を比較すると、Qp/Qs=1.66±1.06:0.94±0.45、SpaO2=82.7±3.1:70.2±11.7、SaO2=82.8±3.9:85±7.0であり、pRVOTR術後は動静脈血が完全に混合せず、効率よく全身へ酸素供給がなされている事が示唆された。2例が根治へ到達し、6例は今後根治を予定している。【結語】pRVOTRはBVR可能な心疾患において効率良い酸素供給が可能となり、SP-Sよりも待機期間のチアノーゼ改善と心不全回避が期待できる。通常のSP-Sでは管理の難しい場合に、考慮すべき術式である。