第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(II)81(P81)
外科治療3

指定討論者:岡 徳彦(群馬県立小児医療センター 心臓血管外科)

[P81-4] Modified Nunn手術:TOF・類縁疾患での右室流出路形成術式:monocuspパッチへの挑戦

河田 政明1, 吉積 功1, 鵜垣 伸也1, 片岡 功一2, 古井 貞浩2, 鈴木 峻2, 関 満2, 佐藤 智幸2, 永野 達也3, 多賀 直行3 (1.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児・先天性心臓血管外科, 2.同 小児科, 3.同 小児手術・集中治療部)

キーワード:Fallot四徴, Nunn手術, 右室流出路形成

Fallot四徴症と類縁疾患での右室流出路形成で広く用いられる一弁付きパッチの代替としてのNunn法の中長期成績を報告する.【対象】2007年1月から2019年12月にPTFE bicuspid valve(Nunn)法を施行した39例を対象とし、適応基準は肺動脈弁輪径70%N以下とした.手術時年齢2ヵ月~14歳(中央値 1歳8ヵ月),体重は4.2~36.8kg(9.0 kg).診断:TF/TF型DORV 38例(肺動脈閉鎖9,肺動脈弁欠損1),PA/IVS 1例、術後観察期間1年4ヵ月~12年5ヵ月(7年9ヵ月).【術式】術中に後壁となる自己組織幅、右室切開心尖部端から肺動脈弁直上後壁中央部までの長さLを計測、(正常予測肺動脈弁輪径+2)(mm)の弁輪を有するseagull型2尖弁を作製した。弁尖の高さはLとし、幅・長さいずれも縫い代を含め若干大きめの弁尖を作製した。弁尖は右室切開辺縁・肺動脈後壁、想定肺動脈弁輪位に結節縫合で固定した。【結果】追加/再手術を5例(血栓除去+左肺動脈形成,遺残VSD閉鎖,末梢肺動脈形成,ペースメーカ植え込み,再右室流出路再建),経皮的肺動脈形成を12例に行った.死亡は術後3年4ヵ月の1例(敗血症;非心臓関連)であった.直近のX線でCTR 0.43~0.67(中央値 0.53;以下同じ),心電図QRS幅0.076~0.174秒(0.133),BNP値6~335pg/ml(25)であった.心エコー検査:再建肺動脈弁輪径は対正常値85~154%(121),収縮期最大圧較差は0~80mmHg(31),右室圧/左室圧比0.25~0.68(0.43),肺動脈弁逆流trivial 1,mild 34,moderate 4.逆流率16~85%(32%, 50%以上:4),三尖弁輪径77~126%N(97)であった.心カテ検査上肺動脈弁位圧較差2~45mmHg(14),右室/左室圧比0.23~1.0(0.45),RVEDV46~144 mL/m2(71)であった.【考察と結論】Nunn法の再建肺動脈弁は作製が容易で,逆流制御に優れ,機能は中期にわたり維持されていた。長期にわたる右室機能維持と治療成績向上の可能性が期待される.