[P86-1] 総肺静脈還流異常症術後肺静脈ステント除去術の経験
キーワード:総肺静脈還流異常症, 肺静脈狭窄, ステント
総肺静脈還流異常症(TAPVC)術後の肺静脈狭窄(PVO)は10-20%に発症し,Sutureless repair等の治療法が試みられてきたが,依然として予後不良の合併症である.我々は,Sutureless repairによるPVO解除後のre-PVOに対してステント留置を施行し,ステント内狭窄の進行のために,肺静脈ステント除去術を施行した症例を経験した.TAPVC術後PVOに対する一救命例として本症例の治療経過および今後の治療展望を報告する.【症例】2歳,10kg,女児.生後1ヶ月時にTAPVC(type IIa)に対して修復術施行,術後1ヶ月目にPVOを発症し,Sutureless repairによるPVO解除術を施行した.その1ヶ月後にre-PVOをきたし,経皮的肺静脈ステント留置を施行した.その後,約2年間にわたり定期的なステント拡張術を行い,肺動脈圧は5割程度に維持された.ステント内狭窄が進行した2歳時に,外科的肺静脈ステント除去術を施行した.血管内膜に埋没したステントは,電気メスを用いて比較的容易に抜去可能であった.肺動脈圧は有意に低下したが,術4週間後に再々狭窄をきたし,Size-upした肺静脈ステントの再留置術を施行,以後患児の経過は良好である.【結語】TAPVC修復術, PVO解除手術, 肺静脈ステント留置を経て救命した2歳女児に対して,ステント除去手術に続くSize-up ステント再留置を経験した.本症例の治療経過はPVO根治に対する一つの回答となる可能性がある.