[P93-1] 大動脈スイッチ手術後遠隔期の大動脈基部拡大に関する検討
Keywords:Transposition of great artery, Arterial switch operation, Aortic root dilation
【背景】完全大血管転位症(TGA)に対する大動脈スイッチ手術(ASO)の術後遠隔期の続発症として大動脈基部拡大が散見される.
【目的】当院におけるASO術後遠隔期の大動脈基部の拡大傾向について検討すること.
【対象と方法】1998年1月以降にASOを施行した症例で,術後5年以上経過し,かつ心エコーを術後2回以上施行した26症例. 診断はTGA(I) 20例, TGA(II) 2例, DORV 4例. DORV 4例とTGA(II) 1例でASOに先行してPABを行っている.平均観察期間11.8年(median 12.9, IQR 7.5-14.9). 後方視的に検討した心エコーは合計120回(平均4.6回/症例). 大動脈弁輪径, Valsalva洞径の変化をZ-scoreで経時的に評価した.
【結果】遠隔死亡なし.大動脈基部拡張および大動脈弁逆流に対する再手術症例なし.大動脈弁輪径, Valsalva洞径のZ-scoreの術直後,5年,10年,15年の中央値は,大動脈弁輪: median(IQR) 3.6(1.0-5.0), 2.7(2.5-3.9), 1.9(1.0-3.4) ,2.5(1.8-5.0), Valsalva径:2.5(1.9-3.9), 2.7(1.1-3.2), 2.6(2.2-2.3), 3.3(1.6-5.4)と術後20年までZ-scoreの中央値の変化に有意差を認めなかった. また遠隔期にmild以上のARを認めた症例は9例あったが,大動脈弁輪径, Valsalva洞径との関連はなく,大動脈基部拡張を認めるがARのない症例もあった. 術直後大動脈弁輪のZ-score高値であったが成長に伴いZ-scoreが低下する症例を複数例認めた.
【結語】ASO術後の大動脈基部は冠動脈再建の術式(両側トラップドア法)に伴いほぼ全例で術直後から拡大しているが, 今回の検討では成長を考慮すると進行性の拡大傾向は認めなかった.
【目的】当院におけるASO術後遠隔期の大動脈基部の拡大傾向について検討すること.
【対象と方法】1998年1月以降にASOを施行した症例で,術後5年以上経過し,かつ心エコーを術後2回以上施行した26症例. 診断はTGA(I) 20例, TGA(II) 2例, DORV 4例. DORV 4例とTGA(II) 1例でASOに先行してPABを行っている.平均観察期間11.8年(median 12.9, IQR 7.5-14.9). 後方視的に検討した心エコーは合計120回(平均4.6回/症例). 大動脈弁輪径, Valsalva洞径の変化をZ-scoreで経時的に評価した.
【結果】遠隔死亡なし.大動脈基部拡張および大動脈弁逆流に対する再手術症例なし.大動脈弁輪径, Valsalva洞径のZ-scoreの術直後,5年,10年,15年の中央値は,大動脈弁輪: median(IQR) 3.6(1.0-5.0), 2.7(2.5-3.9), 1.9(1.0-3.4) ,2.5(1.8-5.0), Valsalva径:2.5(1.9-3.9), 2.7(1.1-3.2), 2.6(2.2-2.3), 3.3(1.6-5.4)と術後20年までZ-scoreの中央値の変化に有意差を認めなかった. また遠隔期にmild以上のARを認めた症例は9例あったが,大動脈弁輪径, Valsalva洞径との関連はなく,大動脈基部拡張を認めるがARのない症例もあった. 術直後大動脈弁輪のZ-score高値であったが成長に伴いZ-scoreが低下する症例を複数例認めた.
【結語】ASO術後の大動脈基部は冠動脈再建の術式(両側トラップドア法)に伴いほぼ全例で術直後から拡大しているが, 今回の検討では成長を考慮すると進行性の拡大傾向は認めなかった.