第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

多領域(看護)

デジタルオーラル多領域専門職部門(II)02(TRP02)
多領域(看護)

指定討論者:井林 寿恵(京都府立医科大学附属病院)

[TRP2-3] 境界知能のFontan術後患者の就学における現状と支援

尾方 綾1, 佐久間 麗1, 小野 晋2, 柳 貞光2, 上田 秀明2 (1.神奈川県立こども医療センター 臨床心理科, 2.神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

キーワード:Fontan術後, 境界知能, 就学状況

【背景】先天性心疾患の患者の長期生存に伴いAYA世代の成人医療への移行にあたり、心理社会的発達、支援に関心が高まっている。これまでFontan術後患者の就学や集団参加状況を報告したが、Fontan術後患者に限らず知的に境界域の場合、周囲の理解や支援が得られにくい現状がある。【目的】境界知能のFontan術後患者への支援状況を把握する。【方法】対象:A病院で2012年5月~2020年1月に、就学前後で知能検査、発達検査を実施したFontan術後患者82名(平均6歳1ヶ月)のうち境界域と判断された23名。方法:検査時の就学状況、現在の就学状況、保護者の困り感などを検討した。【結果】検査結果を標準(DQ及びIQ85以上)、境界(70~84)、遅れ(69以下)としたところ、標準45名(54.9%)、境界23名(28.0%)、遅れ13名(15.9%)、算出不可1名(1.2%)であった。境界23名の内、検査時の就学状況は、幼稚園・保育園16名、普通級6名、支援級1名であった。現在の就学状況は、幼稚園・保育園1名、普通級14名、支援級7名、不明1名であった。再検査を実施した12名では、標準5名、境界5名、遅れ2名であった。また保護者への聞き取りから、「少し気になる・気になる」が、「気にならない・あまり気にならない」を上回っていた項目は、体調(46.2%)、運動(50.0%)、言葉(46.2%)、友達関係(61.5%)、集団生活(46.2%)、勉強(76.9%)であった。【結論】境界知能のFontan術後患者の3分の1が支援級を選択していた。就学先の選択は最終的に保護者にゆだねられる。保護者は身体だけでなく学習や対人関係などにも不安を抱えており、知能検査などの客観的なデータや、保護者からの聞き取りなどから得られた児の特性などを基に、それぞれに合った支援方法を検討していくことが重要である。更に、再検査の結果では標準に達している児、遅れが見られるようになった児もおり、就学時の結果だけでなくその後も継続的な支援も必要である。