第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

多領域(リハビリ)

デジタルオーラル多領域専門職部門(II)05(TRP05)
多領域(リハビリ)

指定討論者:鎌田 将星(国立循環器病センター 循環器病リハビリテーション部)

[TRP5-7] 小児心臓外科術後呼吸リハビリテーションとしての陽陰圧対外式人工呼吸器の有効性と安全性

星木 宏之1, 林 秀俊1, 内梨 あゆみ1, 渡邊 勇樹1, 宗内 淳2, 渡邉 まみ江2, 杉谷 雄一郎2, 松岡 良平2, 藤本 智子3, 松田 健作3, 落合 由恵3 (1.九州病院 リハビリテーション室, 2.九州病院 小児科, 3.九州病院 心臓血管外科)

キーワード:周術期管理, 集中治療, 呼吸管理

【背景】陽陰圧体外式人工呼吸器(RTX)はバイブレーションモードとカフモードの組み合わせにより排痰を促す呼吸リハビリテーションとして有効性が知られるが、小児における開胸心臓外科術後では、胸骨癒合の問題などを含めてその安全性と有効性は明らかではない。徒手排痰でも創部を考慮して軽めのスクイージングに咳嗽誘発、体位ドレナージが中心となる。
【方法】2015年4月~2017年3月に排痰、無気肺予防改善目的に理学療法士が介入した自力排痰が困難な心臓外科術後小児(6歳以下)27例(ファロー四徴症7例、心室中隔欠損症6例、単心室症5例、その他9例)を対象とした。無気肺消失までの日数や介入日数、有害事象に関して、2012年4月~2015年3月に徒手排痰を行った36例(単心室症13例、心室中隔欠損症5例、房室中隔欠損症4例、ファロー四徴症2例、その他12例)と比較検討した。
【結果】RTX群と徒手群において、年齢(1.4±1.7歳vs1.6±1.6歳)、介入日数(13.8±13.7日vs10.2±8.3日)に有意差はなかった。理学療法介入時に無気肺を呈していたRTX群16例、徒手群9例の介入翌日の胸写は、改善が9例(56%)vs5例(56%)、非改善が7例(44%)vs4例(44%)、無気肺消失までの日数は、4.8±5.4日vs7.4±7.4日、無気肺が残存した症例は2例(13%)vs2例(22%)、といずれも有意差はなかった。有害事象は、RTX介入直後に新規無気肺出現のため再挿管となった1例があったものの、創部に関連した有害事象は両群とも認めなかった。
【考察】無気肺消失までの日数に有意差はなかったが、RTX群にて2.6日程度早い傾向がみられた。徒手群にて17日間介入したが全く改善せず、RTXを導入した直後に改善がみられた症例もいるなどデータだけでは効果を表すのに不十分な点もある。症例毎に画像所見の推移に着目する必要がある。RTXは基本的に陰圧を中心とした治療法であり、胸郭を押すのではなく拡げるため創部に対する影響が少なかったと考える。