第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

多領域シンポジウム

多領域シンポジウム01(III-TRS01)
先天性心疾患と共に成長発達する小児と家族

2021年7月11日(日) 10:40 〜 12:10 Track3 (Web開催会場)

座長:笹川 みちる(国立循環器病研究センター看護部)
座長:檜垣 高史(愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座)

[III-TRS01-4] 入院治療を受ける学童期の先天性心疾患患児への関わり

丸山 里奈 (榊原記念病院 小児循環器科)

キーワード:子ども療養支援士, 学童期, 心理社会的支援

当院は循環器専門病院であり、全国から先天性心疾患を抱える患児が集まり、連日検査・手術が行われている。
子ども療養支援士は、医療チームの一員として、治癒的遊び・プレパレーション・処置中のサポート等、療養生活を送る子ども・家族への心理社会的支援に特化した活動を行っている。今回は、日々の患児との関わりの中から、学童期の児への支援を中心に紹介する。
入院してくる学童期の児は、生後間もなくから治療が始まり、久しぶりの入院となったケース、小学校入学とともに疾患が判明したケース、病状が悪化して入院となったケースなど様々である。それぞれに物語があり、児本人やご家族の思いに寄り添った支援が求められる。
学童期は発達段階的にも好奇心が増し、もっと知りたい、やってみたいという気持ちが出てくると同時に、他者との違いにも意識が向くようになる時期でもあり、「どうして自分だけ病気なのか」「なぜ今、この手術をやらないといけないのか」などの戸惑いや悩みが出てくる児が多いと感じている。
心疾患とは一生の付き合いとなっていくため、児本人が疾患や身体のことを自分の事として捉えられるようになることは大切な一歩である。
入院中の心理社会的支援を通して、疾患や治療への理解を深めること、何より児が頑張った自分自身を誇りに思えるきっかけとなることが今後の自立や成人への移行に向けても重要だと考え、学童期以降の児へは特に退院前の振り返りには重きを置いている。
子どもが主体となって治療に臨めるように、また療養中であってもその子らしく成長・発達できるようにするためには、多職種がそれぞれの専門性を発揮し協働することが不可欠である。
本シンポジウムでは、子ども療養支援士による入院中の学童期の児への様々な関わりについて紹介するとともに、疾患とともに成長していく子ども・家族を中心に据えた、その力を引き出せるような支援について皆様とともに考えていきたい。