[III-YB06-5] デバイスラグ解消にむけて~行政の立場から~
キーワード:小児医療機器, デバイスラグ, 行政の取り組み
デバイス・ラグとは、欧米では使用が認められている新医療機器が、国内では承認されていないため使用できない状況をさし、「開発ラグ」と「審査ラグ」からなる。日本の行政は、これら欧米との時間差を解消することは、日本の医療向上のために重要であるとの認識から、デバイス・ラグ解消にむけた取り組みを行い、令和元年度のデバイス・ラグは0.6年(=開発ラグ0.6年、審査ラグ0年)であると試算されている。とはいえ、小児医療機器領域において、デバイスラグがほぼ解消されたと思っている医師はいないであろう。2003年から日米の産官学が規制調和の活動として取り組んでいるのが、HBD(Harmonization by Doing)活動である。開発ラグ解消を当初の目的とし、具体的な品目を選定し、実際に国際共同治験を実施することで国際同時開発をめざし規制調和をはかるというユニークな活動である。HBD活動から10年を経て、成人心血管系領域においては、国際共同治験が標準的に行われるようになり、デバイスラグもほぼ解消されてきた。この経験をもとに、2016年よりHBD for children活動が開始され、右室流出路への経皮的経カテーテル的肺動脈弁の国際共同治験が実現に至った。厚労省は小児領域におけるデバイスが充足していないことを重視し、支援策や薬機法規制の整備をすすめている。主な取り組みとしては、・希少疾病用医療機器、・医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会、・先駆け審査指定制度、・革新的医療機器条件付き早期承認制度、・小児用医療機器の承認申請支援事業、・特定用途医療機器がある。これら小児関連領域で利用できる行政の支援策を紹介しつつ、それでもまだなぜ必要なデバイスが充足していないのか、AMED研究で行われている調査内容も紹介しつつ、皆様と議論させていただければ幸いである。