[III-YB07-4] ECMO management in our institute and Future Direction
Keywords:ECMO, 循環ECMO, ECPR
【背景・目的】小児におけるECMO治療は年々増加傾向であり、小児に対する循環ECMOの成績は改善してきている。一方で、小児におけるECPR(extracorporeal CPR)に関しては循環器疾患を背景に持つ院内心停止では比較的良好な成績であることが知られているが、いまだに定まっていないことも多い。当院のECMO治療の現状を調査し、今後のECMO治療の予後改善にむけた課題を検討した。
【方法】2016年1月から2020年12月に当院でECMO導入となった小児グループの患者について診療録を基に患者背景や入院経過を後方視的に検討した。【結果】対象期間に69名の患者に77件のECMO導入があった。主な導入理由は人工心肺離脱困難が20件、低心拍出状態が17件、ECPRが32件であった。導入時に67件が開胸、10件が経皮的カニュレーションであった。経皮的な左心系減圧としてIABP 1件、Impella 1件を併用していた。全体の生存退院は31名(45%)であり、ECMO離脱は52件(68%)で可能であった。ECPRではECMO離脱は24件(75%)が可能であったが、ECPRを受けた31名のうち生存退院は11名(35%)であった。一方で低心拍出状態でECMO導入された14名中9名(64%)が生存している。ECPRにおけるECMO開始までの心肺蘇生時間は生存退院例で平均28.1分、死亡例で平均34.9分であった。
【考察】蘇生を契機に導入したECMO症例の転帰は悪いことが知られており、全体におけるECPRの率を低下させることがECMOおよび全体の治療成績向上につながる可能性がある。また、ECPRの死亡例でECMO稼働までの時間は長い傾向があるが、交絡因子が多くさらなる検討が必要である。調査の時点では効率的なECPR導入のためのECMO稼働までの院内フローは定まったものはなかった。
【結論】今後のECMO治療の成績向上のため、蘇生事象に陥る前のより適切な時期のECMO導入とECPRの院内フローの整備により心肺蘇生時間を短縮することが今後の課題である。本講演では当院のECMO管理方法も併せて紹介する。
【方法】2016年1月から2020年12月に当院でECMO導入となった小児グループの患者について診療録を基に患者背景や入院経過を後方視的に検討した。【結果】対象期間に69名の患者に77件のECMO導入があった。主な導入理由は人工心肺離脱困難が20件、低心拍出状態が17件、ECPRが32件であった。導入時に67件が開胸、10件が経皮的カニュレーションであった。経皮的な左心系減圧としてIABP 1件、Impella 1件を併用していた。全体の生存退院は31名(45%)であり、ECMO離脱は52件(68%)で可能であった。ECPRではECMO離脱は24件(75%)が可能であったが、ECPRを受けた31名のうち生存退院は11名(35%)であった。一方で低心拍出状態でECMO導入された14名中9名(64%)が生存している。ECPRにおけるECMO開始までの心肺蘇生時間は生存退院例で平均28.1分、死亡例で平均34.9分であった。
【考察】蘇生を契機に導入したECMO症例の転帰は悪いことが知られており、全体におけるECPRの率を低下させることがECMOおよび全体の治療成績向上につながる可能性がある。また、ECPRの死亡例でECMO稼働までの時間は長い傾向があるが、交絡因子が多くさらなる検討が必要である。調査の時点では効率的なECPR導入のためのECMO稼働までの院内フローは定まったものはなかった。
【結論】今後のECMO治療の成績向上のため、蘇生事象に陥る前のより適切な時期のECMO導入とECPRの院内フローの整備により心肺蘇生時間を短縮することが今後の課題である。本講演では当院のECMO管理方法も併せて紹介する。