[III-YB07-8] 小児劇症型心筋炎におけるECMO+IMPELLAを用いた経皮的補助循環の適応判断と有用性
キーワード:IMPELLA, 補助循環, 劇症型心筋炎
【はじめに】急性心不全に対するIMPELLA導入は内科的治療及びIABP・PCPSで循環不全が改善されない場合の標準治療になっている。小児においても、開胸を伴うcentral ECMOやVADを回避できる低侵襲なアプローチとして期待されるが、体格が小さい小児への導入には慎重な判断も必要である。【症例】11歳女児、身長151cm、体重40kg、BSA 1.31m2。発熱、頭痛を認めた2日後に呼吸障害が出現。心収縮の低下、広範なST上昇と房室解離、脚ブロックおよび心筋逸脱酵素の上昇を認めたため急性心筋炎と診断。人工呼吸管理を開始し前医に搬送。前医にて右大腿から19.5Fr脱血管、15Fr送血管を挿入しECMO管理を開始。右下肢を含めた全身循環は保たれていたが肺鬱血の進行があり、翌日に当院搬送となった。開胸VAD装着も検討したが、造影CTでの心内腔長と右鎖骨下動脈径測定からIMPELLA導入可能と判断し、右鎖骨下動脈に人工血管による側管を造設しIMPELLA CPを挿入した。これにより速やかに肺鬱血は改善、また経時的に両心機能も改善し、転院4日でECMOを、5日でIMPELLAを離脱し、8日で抜管し後遺症なく回復した。【考察】小児では心腔内長が短いことや、大動脈弓の弯曲の幅が狭い事によるIMPELLAの通過障害、下肢の阻血による合併症が懸念されるためIMPELLAの使用は限定される。しかし若年であっても一定の心腔内長径を有する例では右鎖骨下動脈アプローチにて安定した管理が可能である。ただし、劇症型心筋炎においてBiVADの必要性も視野に入れ、右心系補助の役割を担うV-A ECMOが安定している事も必須の条件となる。欧米ではより小さい体格でも挿入可能という報告もあるが、実際の適応判断に当たって検討すべき点について既報データも交えて考察したい。