第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラルI(OR1)
一般心臓病学1

指定討論者:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学 小児科)
指定討論者:小野 博(国立成育医療研究センター)

[OR1-2] 20年間の2500g 未満で出生した先天性心疾患児の臨床像

横山 岳彦1, 犬飼 幸子1, 大河 秀行2 (1.名古屋第二赤十字病院 小児科, 2.名古屋第二赤十字病院 心臓血管外科)

キーワード:低出生体重児, 周術期管理, 合併症

【背景と目的】出生直後から入院管理を必要とする新生児を診るNICUでは、先天性心疾患(CHD)を有する低出生体重児が入院することがある。これらの児は単なる低出生体重児よりも医療資源を必要とする。このため、当院NICUで管理を受けた出生体重2500g未満の児を振り返りその現状を報告する。【対象】2001年1月から2020年12月までの20年間に当院NICUに入院した児のうち、出生体重2500g未満であり、未熟児PDAを除く先天性心疾患の児を検討対象とした。5年ごとに4期に分けて検討した。【結果】NICUへの総入院数は7213名であり、そのうち2500g未満の児は4077名であった。2500g未満で先天性心疾患を認めた児は209名(5.12%)。第一期 で2500g未満児744名中37名(5.0%)、第二期 で同1035名中73名(7.1%)、第三期 で同1121名中61名(5.4%)、第四期 で同1177名中38名( 3.2%)であった。CHDを伴った低出生体重児209名の生存退院数は179名、死亡退院は 30名(14.4%)。CHDを伴った低出生体重児のうち染色体異常の数は68名(32.5%)ありその内訳は21トリソミー29名、18トリソミー19名、13トリソミー 4名、その他の染色体異常16名であった。手術は80名に施行された。肺動脈絞扼術 39名、B-T 短絡手術 12名、動脈管結紮術 17名、大動脈弓再建術 7名、心内修復術 8名であった。(重複あり)【考察】各期間毎の推移を見ると2500g未満児の入院数は年代を経るごとに増加していたが、CHDを合併した児の割合は5%前後であった。CHDを合併した低出生体重児の死亡率は14.4%と高く、その理由として染色体異常等の合併奇形をともなった児が多く含まれていることが要因として考えられた。低出生体重児の高肺血流性心疾患の児では肺動脈絞扼術を行うことで、体重増加が得られており、低出生体重児でも必要な手術を考慮することが大切であると思われた。