[OR4-3] 胎児診断された先天性心疾患の概要と予後:生後診断例との比較
キーワード:胎児診断, 先天性心疾患, 予後
【目的】胎児診断された先天性心疾患の特徴と予後について調査し、生後診断例と比較検討すること。【方法】2011年から2016年に当院の新生児集中治療室へ入院した先天性心疾患431例を対象とした。胎児診断(F)群と生後診断(N)群に分け、胎児診断、出生および入院時所見、確定診断と経過、新生児期予後、初回入院予後、3歳時予後を診療録より後方視的に調査し比較検討した。【結果】F群は232例、N群は199例であった。2群間の出生週数(F群38±2対N群38±2)、出生体重(2749±528g対2804±500g)に有意差なく(NS)、入院日齢はF群中央値0(範囲0-27)対N群3(0-28), (p<0.0001)。入院時ショックまたは全身状態不良はF群1%対N群6% (p<0.0001)。動脈管閉鎖ショック(19例)と高肺血流ショック(3例)はN群にのみ認めた。心房内臓錯位症候群はF群14%対N群4%(p=0.0002)、機能的単心室は36%対18%(p<0.0001)、全身症候群または染色体異常は20%対13%(p=0.04)。F群には四腔断面で異常が明らかな疾患が多かった。新生児期死亡はF群5%対N群3%(NS)で、初回入院時死亡は10%対6%(NS)であった。3歳時点での機能的単心室のFontan到達はF群38%対N群52%(NS)、機能的単心室以外の2心室修復到達は64%対82%(NS)、3歳時死亡は13%対9%(NS)であった。【結論】胎児診断群は生後診断群に比して早期に診療が開始され、入院時ショックや全身状態不良は少ないが、心房内蔵錯位症候群や全身症候群/染色体異常の合併が多く、機能的単心室の頻度が高い。重症例が多く新生児期から3歳までの死亡率は高い傾向にある。また3歳時点の最終手術到達率は低い傾向にある。