[OR40-1] 重症先天性心疾患のある学童の母親が子どもの発達に合わせて環境を整えるプロセス
キーワード:先天性心疾患, 家族支援, 発達支援
【背景】先天性心疾患のある子どもを育てる母親は,チアノーゼや哺乳力の弱さなどから子育てにおけるストレスが高い。加えて,複数回の手術を重ねる重症の先天性心疾患児は,成長・発達の遅れや発達障害のハイリスク児である。子どもの発達に関する母親の認識は子どもとの相互作用や支援者との関わりを通して複雑に変化していく。【目的】重症先天性心疾患のある学童の母親が子どもの発達に合わせて環境を整えるプロセスを明らかにする。【方法】A病院小児循環器外来に通う重症先天性心疾患児の母親のうち,子どもの発達について気がかりを感じている11名に半構成的面接を実施し,修正版・グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果・考察】重症先天性心疾患児の母親が子どもの発達に合わせて環境を整えるプロセスは,【感染への恐怖】が根底にあり,【健康な子どもに追いつくことへの期待】と【発達障害を疑うことでの気持ちの揺らぎ】の中,【個別対応の必要性への気づき】があることによる【発達に合わせた環境の選択】である。母親は子どもの発達について誰にも相談できない中,周りの子どもとの比較から遅れに対する焦りを感じながらも,心疾患の修復手術を受けることで【健康な子どもに追いつくことへの期待】をしている。しかし,学校生活では子どもの発達への気がかりを感じ,次々と困難が明らかになることへの受け入れられない思いがあり,【発達障害を疑うことでの気持ちの揺らぎ】となっている。健康な子どもと一緒に参加できるのにさせてもらえないことで子どもの自尊心の低下を感じることは,【個別対応の必要性への気づき】となり,子どもの【発達に合わせた環境の選択】につながっている。重症先天性心疾患児の発達支援において看護職は,家族の相談の場を整え,子どもと家族を支援の場へとつないでいくことが求められる。