第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

多領域

デジタルオーラルI(OR41)
多領域 2

指定討論者:仁尾 かおり(三重大学大学院医学系研究科)
指定討論者:西宮 園美(国立循環器病研究センター 看護部)

[OR41-5] 先天性心疾患をもつ学童期の子どもの開示スキル発達への支援

青木 雅子1, 諏訪 茂樹1, 日沼 千尋2, 稲井 慶3 (1.東京女子医科大学 看護学部, 2.天使大学 看護栄養学部, 3.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)

キーワード:学童期, 開示, ライフスキル

【背景】先天性心疾患をもつ学童期の子ども(CHD児)にとって学校の友達との相互作用を通して人間関係を築くことは生涯の自立を図る上で重要になる。学校生活での人間関係構築の促進には、随所で自分の状態を友達に説明する「開示」が必要になる。CHD児は、伝える力が発達過程であり、開示による周囲の反応を心配する等から必要な開示が困難になっている。開示スキルを育むことは社会性の発達や自立した生活への鍵となる。
【目的】CHD児の開示スキル発達に向けた支援の一環として、導入段階のツールを作成することである。
【方法】第1段階:CHD児の自己開示に必要な支援を明らかにするために、質的記述的研究により、CHD児5名、保護者7名、学校教諭4名、医療者4名にインタビューした内容を内容分析し、開示の準備段階と開示時に必要な要素を導き出した。第2段階:学校での出来事を軸に、身体状態や生活上の留意点の説明内容を研究班で検討し作成した。所属機関の研究倫理委員会の承認を得て行った。
【結果】ツールは生活と身体面の2部構成とした。生活編:運動・排泄・食事・飲水・遊び・服薬・通学・行事など、身体編:病気・手術・チアノーゼ・酸素・ペースメーカーに関して、友達からの問いと伝え方のアドバイスを複数パターン作成した。伝える準備性を高められるように具体的で平易な言葉を用い、運用にはタブレット端末やスマートフォンを用い、家庭で繰り返し活用できるツールとした。活用後のフィードバックを得て適時更新可能にした。
【考察】安心した開示には、具体化された状況を土台にして、子どもの伝える力の準備性や自信を高める支援、子ども同士が理解できる環境づくりが必要である。開示スキルは、周囲との人間関係構築や、生活の質向上において具備したいスキルであり、医療者が教育と連携しインクルーシブ教育に参画してく必要性も考えられた。本研究はJSPS科研費JP16K12177の補助を受けた。