[P2-1] 新生児期心筋逸脱酵素陽性は乳幼児突然死症候群を予言するか
キーワード:乳幼児突然死症候群, 心筋逸脱酵素上昇, QT延長
【背景】乳幼児突然死症候群(SIDS)の病因はいまだ不明である。【目的】新生児期に心筋逸脱酵素またはBNPが基準値を超えていた症例の経過観察を行い、SIDSの病因となりうる所見を得たので報告する。【方法】(対象)当院で出生し新生児期にトロポニンI(TNI)、CK-MBまたはBNPが基準値を超えていた17例を対象とした。(方法):診察所見、胸部XP、心電図、心エコー図、ホルター心電図、血液検査(TNI、CK-MB 、BNP)等により新生児期~乳児期に経過観察を行った。【結果】心電図ではQT延長(QTc Bazet≧0.46, Fridericia≧0.42)を14例に認めた。また心室性期外収縮(PVC)R on Tを2例に認めた。上室性期外収縮頻発1例、1日100個以上のPVC1例、モビッツII型房室ブロック1例等を認めた。心エコー図では小さな卵円孔開存ないし心房中隔欠損を9例に認めたが容量負荷は小さかった。左室壁asynergy 、EF低下は無かった。なお、出生時アプガ―ルスコア(1分/5分)は全例8点以上であった。【考案】17例中14例(82.4%)にQT延長が、2例(11.8%)にR on Tが発生した。これは出生~新生児期に心筋障害を受けた心臓に対する哺乳増加による容量負荷増加が原因と考えられる。一方でアプガールスコアは全例正常であったことからこのような例にtorsade de pointes、心室細動等が生じて不幸な転機となった場合SIDSと診断される可能性がある。【結論】1)新生児期の心筋逸脱酵素陽性ないしBNP上昇はハイリスクの心 電図異常に先行する。2)アプガールスコア正常でもそれは生じておりSIDSにつながる可能性がある。