第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラルII(P22)
電気生理学・不整脈 3

指定討論者:青木 寿明(大阪母子医療センター)
指定討論者:吉田 葉子(大阪市立総合医療センター)

[P22-3] 小児孤立性心房細動に対してカテーテルアブレーション治療を行った3例

福留 啓祐, 鈴木 嗣敏, 寺師 英子, 吉田 葉子, 中村 好秀 (大阪市立総合医療センター)

キーワード:孤立性心房細動, 肺静脈隔離, 肺静脈閉鎖

【背景・目的】原因となる疾患の合併がない心房細動を孤立性心房細動(lone AF)と呼ぶ.小児のlone AFは稀で治療法も確立していない.当院でアブレーション治療を施行した18歳未満のlone AF3例を提示する.【症例】1:男児.小学校心臓検診で異常を指摘されたが,受診しなかった.10歳時に動悸あり,運動負荷心電図でAFが誘発された.Atenolol・flecainideは無効であった.13歳時(体重78kg)電気生理学的検査(EPS)で持続性頻拍が誘発されず下大静脈三尖弁輪峡部(CTI)のみ焼灼した.1か月後のEPSで頻発する右肺静脈起源期外収縮を認めた.右肺静脈隔離(PVI)を行うもAFが誘発され,左PVIも追加した.1か月後,運動負荷心電図でAFが誘発され,bisoprolol・flecainide・amiodaroneで管理した.17歳時EPSで肺静脈電位は再伝導していた.AFも誘発されたが,異所性興奮は認めず,PVIを再施行した.現在20歳,発作性AFは残存しbisoprolol・flecainideを継続中,自覚症状なし.2:男児.高校心臓検診で右房起源の多発性心房期外収縮(PAC)を認め,ホルター心電図で発作性AFを認めた.16歳時(体重47kg)EPSでPACはなく,右房自由壁への刺激で特異的にAFが誘発された.分界稜上縁分裂電位とCTIへの焼灼を施行した.1か月後のホルター心電図でAFの再発を認めた.3か月後,分界稜上縁・中部の異常電位に焼灼を施行した.術後1年のホルター心電図で不整脈の再発なし.3:男児.10歳時(体重37kg)健診で不整脈あり,ホルター心電図で最大心拍数212bpmの心房粗細動を認めた.Aprindine・bisoprololは無効であった.EPS時左上肺静脈起源心房頻拍の2:1伝導だった.肺静脈内へのカテ挿入で頻拍は停止するため詳細なマッピングは断念し,左PVIを施行した.術後1.8年で血痰を認めCTで左肺静脈完全閉塞が明らかとなった.現在14歳,不整脈再発なし,運動制限下で管理中である.【考察】小児Lone AFのPVIは一定のAF抑制効果があるが,肺静脈閉塞のリスクがあり,症例選択には慎重であるべきと考えられる.