[P27-8] 乳児期に拡張型心筋症様症状を呈した長期経過観察中の2症例
Keywords:拡張型心筋症, 心機能, 二次性心筋症
乳児期に拡張型心筋症様の症状を呈し、現在も経過観察中の2症例について報告する。【症例A】初診時7か月の女児。初診1か月前から多呼吸の傾向あり。初診1週間前から哺乳不良が出現し当科紹介。初診時のUCGでsevere MRを呈し、LVFSは10%、LVDdは188%Nと155%Nと左室の収縮障害および拡大を認め、BNP(pg/mL)は5837.6であった。利尿薬およびACE阻害薬の内服に反応しβ遮断薬も追加して加療、全身状態は改善し初診55日後に退院。外来経過観察中、心機能も徐々に改善した。初診後9年2か月経過したが至近のLVFS・LVDd・BNPはそれぞれ37%・111%N・6.2で、現在も内服を継続し経過観察中である。【症例B】初診時6か月の男児、傾眠傾向・呼吸促迫あり当院へ緊急ヘリ搬送。初診時のUCGでsevere MRを呈し、LVFSは13%、LVDdは155%Nと左室の収縮障害および拡大を認め、BNPは2926.7、全身状態不良でICU管理・カテコラミン投与を要した。また初診時から低血糖が遷延し、CK-MM優位の逸脱酵素上昇も認めた。ICU管理から離脱後、ACE阻害薬次いでβ遮断薬を投与開始し全身状態は改善、初診23日後に地域の総合病院へ転院した。外来経過観察中、症例Aより緩徐ではあるが心機能も改善傾向を示した。初診後5年経過したが至近のLVFS・LVDd・BNPはそれぞれ29%・124%N・11.1で、現在も内服を継続し経過観察中である。【結語】両症例共に退院後は心イベントなく、内服治療で比較的安定した経過を辿っている。両症例の診断であるが、症例Aは特発性拡張型心筋症の可能性が高いと思われるが、症例Bについては急性心筋炎後や二次性心筋症の可能性も否定できない。文献的考察も交えながら報告する。