[P3-1] 地域病院における先天性心疾患診療の課題
Keywords:先天性心疾患, 地域病院, 新生児スクリーニング
【背景】先天性心疾患(CHD)は新生児期の管理が予後に大きく寄与するが、病院集約化が進む中で都市部と同水準のCHD診療を地域病院で行うことは困難となってきている。【目的】地域病院におけるCHD診療の課題を明らかにすること。【対象と方法】2008年から2020年の間に当院で出生しCHDと診断された15例を対象に診断契機、診断日齢、診断名、治療経過、転帰を後方視的に検討した。【結果】胎児診断例は認めなかった。診断契機は心雑音10例、チアノーゼ2例、新生児集中治療室入院時のスクリーニング2例、奇形症候群のスクリーニング1例であった。診断日齢は中央値5(0-143)、診断名は心室中隔欠損症(VSD)9例、心房中隔欠損症(ASD)1例、動脈管開存症(PDA)1例、肺動脈弁狭窄症(v-PS)1例、重症大動脈弁狭窄症(cAS)1例、左心低形成症候群(HLHS)1例、単心室+肺動脈閉鎖(SV+PA)1例であった。初期診断と小児循環器医の診断が異なっていたのは3例あり、それぞれASDが僧帽弁閉鎖不全症(MR)、cASがASD、SV+PAがVSDと診断されていた。cASの症例は日齢5に心雑音を契機に心臓超音波検査でASDと診断されたが、日齢16に肺うっ血、心収縮能低下を認めたため高次医療機関に紹介され診断された。SV+PAの症例は出生直後のSpO2低下は認めなかったが以降は測定されておらず、遷延する体重増加不良に対しても精査はされていなかった。日齢111に心雑音を契機に心臓超音波検査でVSDが疑われたため高次医療機関に紹介となり診断された。1例が高次医療機関へ緊急搬送となっており、HLHSによるductal shockが原因であった。1例が死亡しており、SV+PAの症例であった。【結語】地域病院におけるCHD診療において胎児心スクリーニング率の向上、全出生児へのSpO2測定や非特異的な症状に対する積極的なCHDの精査が課題と考えられた。また、より的確な診断や管理方針について通信技術を用いた遠隔医療がその一助になると思われた。