第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

一般心臓病学

デジタルオーラルII(P3)
一般心臓病学 3

指定討論者:廣田 篤史(国立循環器病研究センター 小児循環器内科)
指定討論者:本村 秀樹(国立機構長崎医療センター 小児科)

[P3-4] COVID-19の流行が小児循環器患者の外来受診数と基礎疾患の管理に与えた影響

判治 由律香1, 川合 玲子1, 高月 晋一1, 中山 智孝2, 松裏 裕行1 (1.東邦大学医療センター大森病院 小児科, 2.高知大学医学部付属病院 小児科)

キーワード:COVID-19, 小児循環器患者, 受診自粛

【背景】COVID-19による外出自粛で、2020年の当院小児科一般外来受診数は前年度に比し25%減少、救急外来受診数は53%減少した。特に緊急事態宣言下では一般外来受診数は前年度に比し58%減少、救急外来受診数は83%減少した。一方で、小児循環器科の外来受診数は減少したが、原疾患悪化による予定外受診や入院の増加はなかったという海外の報告がある。【目的・方法】2019-2020年(緊急事態宣言:2020年4月7日~5月25日)に当院小児循環器科を受診した患者を対象とした。電子診療録を用いてCOVID-19流行前後での当院小児循環器科の一般外来受診数、キャンセル数、救急外来受診数、最終受診から1か月以内の予定外受診や入院数を比較し、受診自粛が基礎疾患に与えた影響を後方視的に検討した。【結果】2020年の小児循環器科の一般外来受診数は前年度に比し15%減少、緊急事態宣言下では47%減少したが、いずれも小児科より減少率は低かった。また小児科では年間通して受診数が減少したが、小児循環器科では受診数減少は緊急事態宣言前後に限定された。緊急事態宣言下での救急外来受診数は前年と差はなかったが、キャンセル数は前年に比し50%増加し、小児科外来の34%増加より高かった。キャンセル患者の背景は、年齢中央値9(0-69)歳で乳幼児・成人患者が多く、女性が56%、基礎疾患は年齢毎に差があったが、キャンセル後1か月以内の原疾患悪化による予定外受診や入院の増加は認めなかった。また対象期間にCOVID-19に罹患し入院した小児循環器科の患者は2名(成人1例、乳児1例)だが、重症化はしていない。【結論】COVID-19流行による緊急事態宣言下においては、小児循環器科でも小児科同様キャンセル数が増加し一般外来受診数は減少したが、それ以外の期間では小児科に比して一般外来受診数減少率は低かった。キャンセル患者の予定外受診や入院数の増加はなく、受診自粛が基礎疾患管理に与えた影響は低いと考えられた。