[P30-4] 心筋仕事指数を用いた小児前駆B細胞急性リンパ球性白血病患者の心機能評価
キーワード:Myocardial Work, ストレイン, 化学療法
【背景】圧-ストレイン曲線から得られる心筋仕事係数;myocardial work index (MWI)、建設的仕事係数;constructive work(CW)、無効な仕事係数;wasted work(WW)、心筋仕事効率;myocardial work efficiency (MWE)は、後負荷の要素を含む新しい心エコー指標であるが、これらの指標を使用した小児がん治療患者群での心機能解析の報告はない。【目的】前駆B細胞急性リンパ球性白血病 (BCP-ALL)患児に対して圧ストレイン解析を行い、その鋭敏性の検証と、心機能低下の特徴を明らかにすること。【方法】対象は, BCP-ALL患児20例(年齢10.7±3.1歳)、化学療法後経過年数4.9 (1.4ー11.6)年、および健常児40例(年齢10.5±3.0歳)。GE社製VividE90およびE95、解析装置はEchoPACを用い、心尖部アプローチ左室3断面動画のデータから解析した。【結果】安静時の収縮期血圧100.6±11.6mmHg vs. 101.9±12.1mmHg (p=0.686、GLS -19.8±2.5% vs. -20.6±2.1%(P=0.202)及び左室全体のMWE 95.4±1.5% vs. 94.9±1.4% (P=0.203)と有意差は認めなかった。左室全体のWIは1593±257mmHg% vs. 1747±230mmHg% (P=0.022)、左室全体のCWは1754±227mmHg% vs. 1991±231mmHg% (P<0.001)と患者群で有意に低下していた。また部位別の検討では患児群は正常群と比較して、LS、MWIが心尖部のみで有意に低下していた。【結語】BCP-ALL群では健常児群と比較してGLSに有意差がなくとも心筋仕事係数が低下し、圧ストレイン曲線解析は鋭敏な心機能指標であった。BCP-ALLでは心筋仕事係数が心尖部から障害される。