The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラルII(P32)
術後遠隔期・合併症・発達 1

指定討論者:崔 禎浩(宮城県立こども病院)
指定討論者:松久 弘典(兵庫県立こども病院)

[P32-4] Blalock-Taussigシャント術後の感染性仮性動脈瘤に対するハイブリッド治療

國方 歩1, 杉山 隆朗1, 藤岡 泰生1, 稲毛 章郎1, 小林 城太郎2, 大石 芳久1 (1.日本赤十字社医療センター 小児科, 2.日本赤十字社医療センター 心臓血管外科)

Keywords:Blalock-Taussigシャント, 感染性動脈瘤, ハイブリッド治療

【はじめに】Blalock-Taussigシャント(以下BTS)に合併する感染性仮性動脈瘤は,動脈瘤破裂や敗血症から重篤な転帰を辿る稀な術後合併症である.今回,ハイブリッド治療により安全に瘤切除を行った症例を経験したので報告する.【症例】症例は5ヶ月,体重7kgの男児.診断は,22q11.2欠失症候群,ファロー四徴症,右側大動脈弓,左鎖骨下動脈起始異常.生後3ヶ月で BTS術(左総頸動脈から主肺動脈分岐部, 3.5mm)を行い退院した.退院後外来で酸素化低下があり精査加療目的に入院した.発熱はなかったが血液検査で炎症反応の上昇があり,心エコーでシャント周囲に血流を伴う管腔構造を認めた.造影CT検査を追加し仮性動脈瘤の診断とした.入院時に提出した血液培養3セット全てからStaphylococcus capitisの検出があった.Vancomycinで治療を開始し血液培養は陰転化したが,炎症反応は陰性化しなかった.感染コントロールおよび肺血流の確保を目的に,動脈瘤切除術,右室流出路形成術を企画した.動脈瘤は胸骨直下に位置しており胸骨正中切開の際に破裂や出血のリスクがあったため,ハイブリッド治療で動脈瘤開口部を閉塞し手術を行う方針とした.右大腿動脈からPigtailカテーテルを挿入し,大動脈造影を行い瘤の形態,左総頸動脈径,開口部の位置を確認した.左内頸動脈をカットダウンしSterling(6mm, Boston Scientific社)を挿入,動脈瘤への流入血管でバルーンを拡張した.再度Pigtailカテーテルで大動脈造影を行い,流入口の完全閉塞を確認し同部位にバルーンを留置した.その後,胸骨正中切開を行い体外循環を確立した上で,感染巣の摘出と肺動脈弁下部狭窄の解除を行った.人工血管は全周性に縫合破綻しており,摘出したシャントからもStaphylococcus capitisの検出があった.【結論】BTS術後の感染性仮性動脈瘤に対して,バルーン拡張による血流遮断は安全に外科手術を行う上で有用な補助手段であると考えられた.