[P33-5] 総肺静脈還流異常症の術後検査の妥当性
Keywords:TAPVC, PVO, early detection
背景: 総肺静脈還流異常症(TAPVC)は術式の工夫や術後管理の発展にも関わらず、術後に肺静脈狭窄(PVS)/肺動脈閉塞(PVO)を来してしまう症例があり、早期発見に適した術後管理は確立されていない。当センターではTAPVC術後管理は1年後のカテーテル検査(心カテ)・肺血流シンチ(LPI)を原則とし、リスクに応じて術後半年まで繰り上げなど行っている。目的: PVS/PVO発見のタイミング・方法を分析し、術後検査が適切だったが検証した。方法: 2005年1月から2019年12月の間にTAPVCの修復術を行った症例を対象とし、後方視的に検査スケジュール・検査所見・遠隔期成績を評価し比較した。結果: 15年間で38例にTAPV repairを施行(1型 12例, 2型 7例, 3型 13例, 4型 6例)、内9例が充分なフォローアップができておらず、22例はPVS/PVOを否定できていた。残る7例では、4例がPVOとして発見 (術後0.6-6.9か月)、2例に手術介入、最終的に4例全てでPVOとなり、内1例が呼吸器合併症から死亡の転帰となった。PVSとして発見された3例(術後6.5-11.8か月)の内1例はPTAを施行したが改善なくPVS継続、2例は手術介入の甲斐なくPVOとなり換気不全から死亡の転帰となった。7例で合併を疑った契機は、定期のLPIが3例(術後5.9-11.8か月)、定期エコーが2例(術後0.6-2.1か月)、SpO2低下(心房間交通残存)が1例(術後6.9か月)、レントゲン所見が1例(術後6.5か月)だった。全症例においてエコー・レントゲンで定期評価していたが早期発見につながりにくく、術後半年を過ぎて発見に至った4例はその直前数か月にLPI・CT・心カテなどの精査は行っていなかった。PVS/PVOの症例では患側肺動脈の流速低下・逆流を後方視的にも確認できる事が多かった。結語: PVS/PVOを合併した症例の多くはもう少し早い時期に診断できた可能性があり、肺動脈の血流パターンに注意する事や、リスク症例では精査の時期をこれまでより早期に行う事で予後改善につながる可能性がある。