The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Digital Oral

成人先天性心疾患

デジタルオーラルII(P37)
成人先天性心疾患 2

指定討論者:山村 健一郎(九州大学病院)
指定討論者:市川 肇(国立循環器病研究センター 小児循環器内科)

[P37-1] 先天性心疾患術後患者におけるサルコペニア

竹蓋 清高, 植田 由依, 中川 良, 籏 義仁, 佐藤 有美, 中西 敏雄, 先崎 秀明 (国際医療福祉大学成田病院 小児科)

Keywords:成人先天性心疾患, サルコペニア, 運動療法

【背景】サルコペニアとは,加齢に伴う筋肉量の減少及びそれに伴う身体機能の低下を指す.高齢者ではサルコペニアが身体機能障害やQOLの低下に繋がるため,早期に発見し介入する必要がある.今回我々は,先天性心疾患の術後患者におけるサルコペニアの合併について報告する.
【対象】当院において2020年7月~2021年1月に入院した13名の先天性心疾患術後患者を対象に,心肺運動負荷試験(以下CPX),心臓MRI,生体電気インピーダンス分析(BIA),筋力検査を施行した.
【結果】年齢は13歳から37歳,うち男性が6名.13名中,8名がサルコペニアの診断基準である骨格筋量低下(骨格筋指数:男性<7.0kg/m2,女性<5.7kg/m2)を認め,うち5名は握力低下を伴いサルコペニアの診断を満たした.またCPXではサルコペニア群は正常の40~69%,非サルコペニア群では41~75%の運動耐容能低下を伴った.サルコペニアの5名のうち3名はFontan術後患者であった.サルコペニアの重症度は心不全と相関する傾向があった.
【考察】先天性心疾患の術後遠隔期に認めるサルコペニアは,原疾患に対する運動制限や心不全に伴う運動耐容能低下の影響を受けていると考えられる.しかし加齢に伴い,筋力量がさらに低下することでADLの著しい低下が顕在化する懸念があり,若年であっても何らかの介入を行うべきであると考える.すなわち,運動療法として至適な運動負荷を与えることと,栄養療法としてたんぱく質の多い食事摂取を心掛けることなどである.また,原疾患による心不全の重症度を反映していることも考えられ,循環動態を評価したうえで治療介入を考慮すべきである.【結語】先天性心疾患術後患者にサルコペニアを認めることがある。サルコペニアへの対処やどのような介入を行っていくかは,今後の課題である.