[P37-4] 長野県立こども病院における移行期医療支援体制の発展
キーワード:移行期医療支援, 成人先天性心疾患, 小児慢性疾患
【背景】先天性心疾患を含む小児慢性疾患に対する移行期医療支援について、近年、各都道府県レベルで移行医療支援センターが立ち上がり、体制整備が始まっている。【目的】長野県における移行医療支援へのこれまでの取り組みと今後の課題を明らかにする。【これまでの経過】長野県立こども病院では、2011年から移行期の自立支援を開始、2014年までに先天性心疾患患者1643名,小児がん患者118名に登った。さらに全病院的に小児慢性疾患へ広げるため,2015年より成人移行医療支援チームと成人移行期支援看護外来も開設、メンバーには,医師,看護師,リハ科,薬剤科,医事課,臨床心理,MSW等の多部門を結集。2018年には成人移行医療支援委員会を院内組織として主立った診療科医師も集めさらにスケールアップした。疾患ごとの移行期プログラムを基本に,年代ごとの患者サマリーをテキストにした移行期支援という、本人,家族の意識改革を促す自立支援のシステムとして確立できた。2019年には、信州大学、県福祉部と連携を強化、2020年に県の移行医療支援センターを信州大学に開設し、目下、成人科への連携の橋渡し機関として活動準備中である。また、新事業として、2019年から県内の産科医と連携して小児がん患者の妊孕温存医療に取り組み、就労問題では、こども病院内でハローワークとの連携が可能となった。【今後の課題】循環器疾患などは、比較的スムースに信州大学と医療連携可能であるが、他の慢性疾患については合併症が多い場合など連携が難しい。2021年より、こども病院内に独自の移行期医療支援センターを開設、医師が本格的に移行医療をコディネートできるように専門外来(持ち回り制)を設置、県内医療機関との連携強化に踏み出す。独立型こども病院における移行期医療支援は、循環器疾患のみならず、すべての慢性疾患において病院全体でシステムとして取り組む必要がある。