[P40-7] 小児期Fontan循環における肺血管拡張薬の有効性
キーワード:Fontan循環, 肺血管拡張薬, 小児期
【背景】Fontan循環においてhigh CVPは予後を規定する因子となる。肺血管抵抗を低下させることが重要であるが、小児期Fontan循環における肺血管拡張薬の有効性についてはエビデンスレベルが低く、確立されていない。【目的】当院でのカテーテル検査結果を用いて小児期Fontan循環における肺血管拡張薬の有効性について検討する。【対象・方法】当院でフォローしている18歳未満の小児期Fontan患者で2017年8月から2020年12月までに中期評価カテーテル検査を行った連続43人が対象。診療録を用いて後方視的に検討。肺血管拡張薬内服群、非内服群に分けて患者背景、血行動態(mean PAP, EDP, Qs, Qp, PVR, EF, SatO2)の違いについて、肺血管拡張薬内服群において、内服前後の血行動態(mean PAP, EDP, Qp, PVR)の変化について検討した。尚、肺血管拡張薬開始の目安はPVR 2.5 Wood単位以上としている。【結果】年齢11±4歳、男性24人(56%)、肺血管拡張薬は26人(60%)(PDE5-I: 22人、ERA: 15人、PGI2: 8人、複数内服あり)で使用されていた。肺血管拡張薬の開始時期はGlenn手術前が9人、Glenn手術後が7人、Fontan手術後は10人、その後、血行動態が改善したため肺血管拡張薬内服中止した症例は3人であった。内服群と非内服群で患者背景、血行動態に有意差なし。内服前後で優位にmean PAPとRpが低下していた(16±6→11±3 mmHg, p<0.005、3.2±1.2→1.1±0.5 Wood単位, p<0.0001, respectively)。【結語】肺血管拡張薬の進歩に伴い、多くの小児Fontan患者で肺血管拡張薬が使用されている。小児期では肺血管拡張薬の導入はFontan到達や有効なFontan循環に寄与している。