[P40-9] 先天性横隔膜ヘルニアに伴う新生児肺高血圧に対する一酸化窒素吸入療法、プロスタノイド併用療法の有効性
キーワード:先天性横隔膜ヘルニア, 肺血管拡張剤, イロプロスト
【背景】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)における新生児肺高血圧(PPHN)の管理は予後に大きな影響を与える。PPHNに対する標準的治療として一酸化窒素吸入療法(iNO)が行われるが、重症例ではプロスタノイドなど他系統の肺血管拡張剤が併用されるが、その治療効果は明らかではない。【目的】当院における重症PPHNを認める新生児CDH に対する肺血管拡張療法(iNO, エポプロステノール、イロプロスト)について検討する。【方法】対象は、2001年から2020年に当院のNICUに入院した新生児CDH患者で、診療録より後方視的に検討した。【結果】当院NICUに入院したCDH患者は47例(男:女 25:22)であった。初期10年間の死亡率は42%(11/26例)で、後期10年間は14%(3/21例)、胎児診断例は前期73%(19/26)、後期76%(16/21)であった。CDHの他に合併奇形を伴う症例を10例で認めた。27例においてiNOが施行されており、そのうち8例においてエポプロステノール(前期4例、後期4例)、1例(後期)でイロプロストが併用されていた。この症例は在胎38週、2680gの女児で最重症型CDHの胎児診断がなされていた(他の合併奇形は無し)。出生後即座に人工呼吸管理が行われ、iNO20ppmが開始された。エコー所見は著明な右室圧上昇を示し、動脈管開存を維持する目的でPGE1を使用した。生後4時間で体血圧の低下、酸素指数の上昇を認めiNO濃度を上昇させたがPH所見は改善されず、4時間毎のイロプロスト0.5μg/kg吸入療法が開始された。その後徐々に血行動態は改善し、生後7日目にCDH修復術が施行された。【結語】CDHに伴うPPHNに対する肺血管拡張療法として、標準治療のiNOに加えて、重症例ではプロスタノイド併用療法が有効である可能性が示唆された。