[P42-3] 肺高血圧症進展過程におけるDexmedetomidineの効果
キーワード:肺高血圧症, Dexmedetomidine, 肺動脈平滑筋細胞増殖抑制
【背景】肺動脈平滑筋細胞(PASMC)増殖は肺動脈性肺高血圧症(PAH)の病理学的特徴の1つであり、炎症が重要な役割を果たしていることが知られている。一方、Dexmedetomidine(DEX)は鎮静薬として臨床応用されているα2アドレナリン受容体作動薬である。DEXが炎症を抑制することが報告されている。【仮説】DEXがMonocrotaline誘発肺高血圧ラットモデルにおいて、抗炎症作用によるPAHの改善効果を示す。【方法】In vivoとして、6週齢の雄性ラットにMonocrotalineを皮下投与して肺高血圧を誘発したのち、DEX持続皮下投与を行った。心臓カテーテル検査で右室圧を測定後に肺組織を採取しパラフィン切片を作製して免疫組織化学染色(IHC)を行った。In vitroとして、繊維芽細胞成長因子-2(FGF2)によるヒトPASMC増殖に対するDEXの効果を解析した。また、FGF2刺激下のPASMCでDEXが炎症性サイトカイン産生に与える影響を調べた。【結果】MCT群に比べ、DEX投与群では有意に生存率が改善(0% vs 42%)し、右室圧も低下した(70±10mmHg vs 34±4mmHg)。IHCで、DEX投与群で肺小動脈の中膜肥厚が改善し、NF-κB p65のリン酸化が抑制された。また、DEXはFGF2によるヒトPASMC増殖を濃度依存的に抑制した。さらに、FGF2刺激下のPASMCでDEXはIL-6 mRNA発現を抑制した。【結論】DEXが抗炎症効果によりPASMC増殖を抑制することでPAHを改善することが示され、その機序がIL-6によるNF-κB活性化の抑制であることが推察された。