[P43-3] 川崎病急性期におけるホルター心電図のTpe/QTと冠動脈瘤の関係
キーワード:Tpe/QT, 川崎病, 冠動脈瘤
【背景】川崎病は小児期における代表的な全身の血管炎であり、心臓においては心筋にまで炎症が波及し10%程度に冠動脈瘤(CAA)の後遺症を残す。これまで我々は川崎病急性期においてT波の頂点からT波の終焉(Tpe)時間とQT時間の比(Tpe/QT)が健康対照群と比較して有意に延長し、延長の程度とCAA形成に関連があることを報告してきた。しかし、これらは連続120心拍の解析であるという制約があった。そこで、ホルター心電図を用い急性期川崎病患者におけるTpe/QTの全心拍解析を試みた。
【対象】川崎病主要症状を5つ以上満たす急性期川崎病群(KD群)10名(ガンマグロブリン単回大量療法に対する治療反応群6名:CAA(-)5名、CAA(+)1名、治療抵抗群4名:CAA(-)1名、CAA(+)3名) および年齢性別を合わせた健康対照群6名(HC群)
【方法】ホルター心電計RAC-2512を用い24時間心電図を記録した。長時間心電図解析ソフトを用いTpe/QTを測定し、心拍数(HR)との関係について線形を仮定し後方視的に比較検討した。
【結果】1)KD群、HC群ともにTpe/QTはHRに対し緩やかな正の相関を示した。いずれの群も線形近似における傾きに差を認めなかった。2)CAA(+)群では他の2群に比較しTpe/QTの初期値が増大し、各HRに対するTpe/QTのばらつきが大きい傾向であった。
【考察】これまで我々はTpe/QT=0.282とした場合の川崎病におけるCAA(+)となる感度は75%、特異度は85%であると報告してきた。ホルター心電図においてもCAA(+)群ではTpe/QTはHRに対し延長傾向であった。また、Tpe/QTのばらつきが大きい印象であり、各心筋細胞の再分極過程における不均一性を反映している可能性が推察された。Tpe/QTの延長やばらつきは炎症の程度を反映している可能性があり、CAA形成との関連性も示唆されたが、更なる症例の蓄積が必要と考えられた。
【結語】急性期川崎病患児においてCAA(+)群ではTpe/QTの絶対値とそのばらつきがHRに対して増大傾向となることが示唆された。
【対象】川崎病主要症状を5つ以上満たす急性期川崎病群(KD群)10名(ガンマグロブリン単回大量療法に対する治療反応群6名:CAA(-)5名、CAA(+)1名、治療抵抗群4名:CAA(-)1名、CAA(+)3名) および年齢性別を合わせた健康対照群6名(HC群)
【方法】ホルター心電計RAC-2512を用い24時間心電図を記録した。長時間心電図解析ソフトを用いTpe/QTを測定し、心拍数(HR)との関係について線形を仮定し後方視的に比較検討した。
【結果】1)KD群、HC群ともにTpe/QTはHRに対し緩やかな正の相関を示した。いずれの群も線形近似における傾きに差を認めなかった。2)CAA(+)群では他の2群に比較しTpe/QTの初期値が増大し、各HRに対するTpe/QTのばらつきが大きい傾向であった。
【考察】これまで我々はTpe/QT=0.282とした場合の川崎病におけるCAA(+)となる感度は75%、特異度は85%であると報告してきた。ホルター心電図においてもCAA(+)群ではTpe/QTはHRに対し延長傾向であった。また、Tpe/QTのばらつきが大きい印象であり、各心筋細胞の再分極過程における不均一性を反映している可能性が推察された。Tpe/QTの延長やばらつきは炎症の程度を反映している可能性があり、CAA形成との関連性も示唆されたが、更なる症例の蓄積が必要と考えられた。
【結語】急性期川崎病患児においてCAA(+)群ではTpe/QTの絶対値とそのばらつきがHRに対して増大傾向となることが示唆された。