The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Digital Oral

学校保健・疫学・心血管危険因子

デジタルオーラルII(P47)
学校保健・疫学・心血管危険因子

指定討論者:大野 拓郎(大分県立病院)
指定討論者:佐藤 智幸(自治医科大学とちぎ子ども医療センター)

[P47-5] 地方における学校教員指導:複雑心奇形術後児童に対する「怖さ」を乗り越えるために

岡崎 三枝子1, 仲本 雄一2, 山田 俊介2, 豊野 学朋2 (1.秋田大学医学部附属病院 総合臨床教育研修センター, 2.秋田大学大学院医学系研究科医学専攻機能展開医学系小児科学講座)

Keywords:学校生活管理, 学校教員指導, 複雑心奇形学童

【背景】先天性心疾患は先天疾患のなかで最も頻度が高く、出生100人に1人が先天性心疾患を持って生まれてくると言われている。そのうち複雑心奇形はおおよそ2割程度と推定されるが、外科治療の発展とともに内科的治療・生活管理を行いながら就学できるこどもたちが増加している。しかしながら一方で、複数の外科治療を経験し、就学後も内服継続・運動制限を要する児童に対する教育現場のとまどいが散見される。特に地方における小児人口減少は顕著で、めったに出会わない「複雑心奇形術後」児童に対する教育現場の「怖さ」がある。【事例】全校生徒数192名の地方市町村立小学校。複雑心奇形術後児童2名が通学している。ファロー四徴症術後5年生児童に対し、学校管理E可とし学校生活問題なし。左心低形成症候群フォンタン型手術後2年児童に対し、学校管理D禁とするも、登校班参加不可・自宅SpO2モニター持参を体育・校外学習参加の条件とするなど、教育現場で独自に決定された過剰な生活制限が続いた。文書ならびに学校養護教諭・教育委員会担当者との直接面談等を行うも改善が得られなかった。そのため担当医が直接学校に出向き、校長・教頭・養護教諭・担任教諭と意見交換を行った。またそれに引き続き全教員に対し、心疾患について、心疾患術後の学校生活管理について、また複雑心奇形術後の児童が成人期に達した場合どのような問題を抱えるかについて解説し、その上で担当医として学校教育現場に期待しているものについてメッセージを伝えた。さらに有事対応のためのシミュレーショントレーニングに関しても提言を行った。【結語】複雑心奇形児童にとって、学校における教育・集団生活等の経験は将来の自立・自己決定力等に不可欠である。地方においてごく少数の複雑心奇形児童の学校生活が過剰に制限される場合、直接教育現場との直接対話、教育指導が必要であると考える。