[P48-3] 当院における小児心臓血管外科術後ECMOの成績
Keywords:先天性心疾患, 小児心臓血管外科, ECMO
【背景】小児心臓血管外科術後のECMO症例は重症例が多く, 急変時に導入せざるを得ない状況も経験する. 【対象】2006年4月から2021年1月までに心臓術後30日以内にV-A ECMO導入となった19症例(0-18歳)が対象である. 【結果】年齢の中央値は1.67ヶ月(IQR:0.93-6.87), 全例central ECMOで導入した. (1)背景手術に関し, 二心室修復ないしその再手術(B群)が5例, 姑息術時(P群)が14例(単心室11, 二心室3)であった. ECMO導入の背景(転帰)は B群;人工心肺離脱困難3(生存1), 術後ARDS 1(死亡), 術後心機能低下1(生存), P群;人工心肺離脱困難5(生存2), 術後不整脈2(生存2), ductal shock 3(生存2), high flow shock 3(生存3), 術後心機能低下1(死亡)であった. B群は40.0%(2/5), P群は64.3%(9/14)が生存退院した. (2)ECMO導入時期別では人工心肺離脱困難群(術中群, 8例)が37.5%(3/8), 術後導入群(術後群, 11例)が72.7%(8/11)生存退院し, 有意差はなかった(p=0.18). 術後群10例が蘇生を要し, 9例が姑息術後(生存8)であった. 蘇生からECMO導入に要した時間の中央値は60分(IQR:38-80)であった. 蘇生時間不明の1例を除く9例を蘇生時間60分以上(O群)と60分未満(U群)で分けた際, O群が80.0%(4/5), U群が100.0%(4/4)生存退院し, 有意差はなかった(p=1).【考察】 術中群と術後群を比較した際, 術後群は生存退院の割合が多かった. 小児のE-CPRの生存率は40%と言われる中, 術後群で80%(8/10)救命できたのは姑息術後のductal shockないしhigh flow shockが多く, 心機能は維持されていた点が考えられる. 術中群は心機能低下を背景にECMO導入となった症例が多く, 生存退院は半数未満であった.【結語】ECMO導入前の心機能が生存退院のアウトカムに影響を与える可能性がある. 小児心臓外科術後急変例に適切な蘇生がなされた際, ECMO導入まで60分程度蘇生を要した場合でも生存退院できる可能性が示唆された.