[P5-4] Mitral annulus disjunctionを認め突然死を来したMarfan症候群の1例
キーワード:Mitral annulus disjunction, MVP, 突然死
【はじめに】Mitral annulus disjunction(MAD)は左室後壁と僧房弁付着部にあたる弁輪線維部が離れて存在するという概念である。MADはMVPを有する疾患で有意に検出され、心臓突然死との関連性が報告されている。また、Marfan症候群において僧房弁逸脱(MVP)はしばしば認める合併症である。今回、Marfan症候群としてフォロー中に心臓突然死を来した症例を経験したため報告する。【症例】15歳女児。1歳頃に心雑音を指摘され近医を受診。MVP、mild MRで外来経過観察されていた。7歳時に当院紹介となり、Marfan症候群と診断した。以後、MRの悪化なく外来で経過観察としていた。経過中に明らかな上行大動脈基部の拡大は認めなかった。15歳時に感冒症状が出現し、2-3日後に近医受診し、喘息と診断された。同日夜間倒れているところを発見され、CPAとして近医へ救急搬送。Vfの診断で蘇生処置を行ったが改善せず、死亡に至った。死後施行したCTでは明らかな大動脈解離は認めなかった。【考察】Marfan症候群においてMVPはしばしば認められるが、MADを高頻度に伴うとの報告が見受けられる。Marfan症候群における突然死の原因として大動脈瘤破裂や大動脈解離は良く知られたものであるが、MADを伴う症例については心室性の致死的不整脈が発生する可能性が指摘されている。本症例はフォローアップ中のエコーでMADを伴うMVPを認め、VfによるCPAで搬送されたが死亡に至った。死後のCTで大動脈解離の所見がなかったため、不整脈による突然死だったと考えられる。【結語】MADを認める症例では致死的不整脈の可能性がある。Marfan症候群においては心臓突然死の原因の一つとして留意する必要がある。