[P7-4] 重症肺動脈狭窄が進行し、肺動脈閉鎖に至った双胎間輸血症候群受血児の2例
Keywords:双胎間輸血症候群, 重症肺動脈狭窄症, 肺動脈閉鎖
【緒言】双胎間輸血症候群(TTTS)受血児では肺動脈狭窄(PS)閉鎖(PA)などの右心系合併症を伴うことが知られている。しかし、肺動脈狭窄から肺動脈閉鎖への進行をとらえた報告は少ない。今回我々は胎児期にTTTSを生じ、PSからPAへと進行した2症例を経験したので報告する。
【症例1】母体は30歳、自然妊娠の一絨毛膜二羊膜(MD)双胎で、妊娠17週6日にTTTSを疑われ、前医より当院産婦人科へ紹介。妊娠18週3日、TTTS stage3Rの診断で胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP)を施行した。FLP施行前から受血児のPS所見を認めていたが、施行後も増悪傾向となり、妊娠21週2日以降は肺動脈の順行性血流を認めず、PAと診断した。 以降は前医へ転医となったが、同様に肺動脈順行性血流は認めなかった。妊娠36週1日に突然の子宮内胎児死亡を認めた。
【症例2】母体は34歳、自然妊娠のMD双胎で、妊娠18週0日にTAFDを疑われ当院産婦人科紹介。妊娠19週0日にTTTS stage1の診断でFLPを施行した。FLP施行前から受血児のPS所見を認め、施行後も改善を認めず。在胎31週1日、常位胎盤早期剥離のため緊急帝王切開で出生。出生体重1412g、Apgarスコア7点(1分値)/8点(5分値)。出生時心エコーにて肺動脈弁の順行性血流を認め、診断はcritical PS。tripartiteで、待機的に経皮的バルーン肺動脈弁形成術の方針とした。日齢17以降は肺動脈順行性血流が確認できず、PAへの進行も疑われた。日齢84にカテーテルを計画したが、右室造影で肺動脈を通過する血流を認めず、PAの診断となった。当院での治療を断念し、高次医療機関へ転院した。
【考察】critical PSからPAに進行した2症例を経験した。TTTS受血児ではしばしば右室流出路狭窄所見の進行を認めるが、出生前・後ともにPAへの進行が生じうると考えられた。
【結語】TTTS受血児の右室流出路狭窄所見は進行性であり、出生時にPSでもPAへの進行を起こしうることを念頭に置く必要がある。
【症例1】母体は30歳、自然妊娠の一絨毛膜二羊膜(MD)双胎で、妊娠17週6日にTTTSを疑われ、前医より当院産婦人科へ紹介。妊娠18週3日、TTTS stage3Rの診断で胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLP)を施行した。FLP施行前から受血児のPS所見を認めていたが、施行後も増悪傾向となり、妊娠21週2日以降は肺動脈の順行性血流を認めず、PAと診断した。 以降は前医へ転医となったが、同様に肺動脈順行性血流は認めなかった。妊娠36週1日に突然の子宮内胎児死亡を認めた。
【症例2】母体は34歳、自然妊娠のMD双胎で、妊娠18週0日にTAFDを疑われ当院産婦人科紹介。妊娠19週0日にTTTS stage1の診断でFLPを施行した。FLP施行前から受血児のPS所見を認め、施行後も改善を認めず。在胎31週1日、常位胎盤早期剥離のため緊急帝王切開で出生。出生体重1412g、Apgarスコア7点(1分値)/8点(5分値)。出生時心エコーにて肺動脈弁の順行性血流を認め、診断はcritical PS。tripartiteで、待機的に経皮的バルーン肺動脈弁形成術の方針とした。日齢17以降は肺動脈順行性血流が確認できず、PAへの進行も疑われた。日齢84にカテーテルを計画したが、右室造影で肺動脈を通過する血流を認めず、PAの診断となった。当院での治療を断念し、高次医療機関へ転院した。
【考察】critical PSからPAに進行した2症例を経験した。TTTS受血児ではしばしば右室流出路狭窄所見の進行を認めるが、出生前・後ともにPAへの進行が生じうると考えられた。
【結語】TTTS受血児の右室流出路狭窄所見は進行性であり、出生時にPSでもPAへの進行を起こしうることを念頭に置く必要がある。