第58回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター発表

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ポスター発表(I-P1-2)
画像診断 I

2022年7月21日(木) 14:00 〜 15:00 ポスター会場

座長:石川 友一(福岡市立こども病院 循環器科)
座長:布施 茂登(NTT東日本札幌病院 臨床検査科)

[I-P1-2-07] 心室中隔欠損症に伴う肺高血圧を心エコー検査で推定する際のシャント流速波形の有用性についての検討

桑原 義典, 種岡 飛翔, 石橋 洋子, 本村 秀樹 (国立病院機構長崎医療センター 小児科)

キーワード:VSD, 心エコー, 肺高血圧

【背景】VSDを経過観察する上で、肺高血圧の評価は重要である。心エコー検査ではVSDシャントの流速から右室圧の推定が可能である。しかし、シャント流速から推定される右室圧と心臓カテーテル検査で実測した右室圧に乖離がある症例を時に経験する。Schambergerらはエコーでのシャント流速波形が収縮期早期にピークとなり、下りスロープを作る場合、推定圧較差が過大評価になる傾向を報告している。これは右室圧のピークが左室より遅れた場合に生じる波形であり、右室圧が高い場合に生じやすいと推測される。この波形変化が右室圧の評価に有用かもしれない。
【目的】VSDシャント流速波形の立ち上がりからピークまでの時間を波形全体の時間で割った値(shunt ACT/ET)と、心臓カテーテル検査で計測した右室収縮期圧との相関について検討した。
【方法】当科で2014年10月1日~2021年3月31日に心臓カテーテル検査を行った患者で診断名にVSDを含む者を対象とし、後方視的に検討した。majorな心奇形を合併した者やVSDサイズの長径が2mm未満の者は除外した。
【結果】基準を満たした29症例を対象とした。shunt ACT/ETは右室収縮期圧と負の相関関係を示し、相関係数はr=-0.652と良好な相関関係を示した。また、VSDの位置がsubarterialの者を除外するとr=-0.738となり、右室収縮期圧が40mmHg以上の者だけが全例shunt ACT/ET≦0.41となった。なお、同じ対象群でシャント最大流速からの推定圧較差は右室収縮期圧と負の相関関係を示し、相関係数はr=-0.577であった。
【考察】VSDシャント流速波形のピーク位置は右室収縮期圧と良好な相関関係を示し、シャント最大流速よりも相関係数は高値であった。ただし、VSDシャント流速波形を欠損なく描出できないとピークの位置を誤認する可能性が高く、小さなVSDでの評価には不向きである。
【結論】比較的大きなVSDでは、シャント流速波形のピーク位置は肺高血圧の評価に有用であると考える。